FSF、海賊版拡散防止条約に対し反対意見を表明

 非営利団体Free Software Foundation(FSF)は7月10日(米国時間)、日本・洞爺湖で開催された主要国首脳会議(G8)で、制定に向け交渉加速することになった「模倣品・海賊版拡散防止条約(仮名称、略称ACTA)」に対し、反対の姿勢を表明した。同条約は、フリーソフトウェアへの脅威になると述べている。

 ACTAは2005年のG8で提唱された知的所有権(IP)保護対策で、国際的な取り組みを目指す。日本、米国、欧州連合諸国、スイス、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコが協議に参加しており、カナダも加わることになっている。

 先週開催された洞爺湖サミットでは、同条約制定に向け交渉の加速化を奨励し、今年中に交渉完了を目指すことが決まった。

 これを受け、FSFは同条約がフリーソフトウェアに与える影響として、1)フリーソフトウェアの配信を難しくする、2)DRMフリーメディアの購入が不可能となり、フリーOSユーザーはメディアの再生が難しくなる、3)DRMをサポートしない携帯型メディアプレイヤーへの取り締まり、4)監視文化の創出、の4点を挙げている。3)については、ACTAにより国境での取り締まりが強化されることから、DRMをサポートしない携帯型メディアプレイヤーを国境で押収される可能性が出るかもしれないという。

 FSFによると、同条約は当初、医薬品など物理製品の知的所有権を対象にしていたが、スコープを拡大させ、インターネット配信や情報技術も含まれるだろうという。

Free Software Foundation
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