NovellによるMoonlightのリリース――SilverlightをLinuxにてサポートさせるFireFox用プラグイン

 本年5月初めにNovellから密やかにリリースされた Moonlight は、MicrosoftのSilverlightテクノロジをサポートするLinuxクライアントの1つである。Silverlightとはリッチインターネット用のメディア開発を目的とした.Netベースのクロスブラウザ/クロスプラットフォームプラグインであり、ごく大雑把に言えばAdobe FlashのMicrosoft版だと思っておけばいいだろう。

 Moonlightの使用にあたっては、事前にMonoの最新パッケージ群をインストールしておく必要がある。UbuntuおよびFedoraの場合は最初から使用可能な状態にされているが、その他のディストリビューションの場合は各自のパッケージマネージャを確認して頂きたい。あるいはソースコードからMonoをコンパイルすることもできる。

 MoonlightはFirefox用プラグインとして作られているが、現状で同ブラウザのバージョン3にインストールした場合にバグが発生することを開発陣自身が認めているので、Firefox 3での使用は避けるべきだろう。同プラグインのインストール手順としては、まずFirefoxを用いてMoonlightのWebサイトにアクセスし、各自のハードウェアプラットフォームに適したインストール用ダイアログの呼び出しボタンをクリックする。インストール用ダイアログが表示されない場合は、Firefoxのインストールブロック機能が動作している可能性があり、そうしたケースでは表示領域の上部に黄色のバーが表示されているはずである。ブロック機能を解除するには、このバーにあるOptionsボタンをクリックして除外対象とするサイトへのドメイン登録をすればいい。除外対象の指定が問題なく行われていればインストール用ボタンのクリックによりSoftware Installationダイアログが表示されるはずなので、その後はInstall NowのクリックおよびFirefoxの再起動によってインストールプロセスは完了する。

 Moonlight wikiには同プラグインのテストに利用可能なサイトが一覧されており、例えばWeihong Hendricks氏によるAsset Allocatorなどは、動作検証用の優れたサンプルの1つである。これはインタラクティブ形式で動作する資産リスク管理用の計算グラフであり、資産配分の設定をユーザが変更するとリアルタイムでグラフが再描画されるという機構になっている。

 なおMoonlightのバイナリ版についてはオーディオおよびビデオ関連のサポートが欠落しているので、オーディオ/ビデオ機能を利用したければMono wikiにある解説に従ってMoonlightをソースコードからビルドしなくてはならない。

 早くもMoonlightの開発チームはSilverlight 2.0のサポートに向けた活動に着手している。既にアルファ版がリリースされているので、勇気ある人間は試してみてもいいだろう。

 LinuxというオープンなシステムにてMoonlightとMonoという組み合わせを使用することに関しては激しい論争が巻き起こっている。Microsoft側からは、Novellとの提携に基づいて同ソフトウェアを使用するユーザに対して法的訴訟を起こさない旨の声明が出されており、それで納得しているユーザもいるが、一部のユーザは納得していないようだ。

 そのライセンス形態がどのようなものであれ、Flashの場合と同様、LinuxユーザはMoonlightを利用しない限りSilverlightを用いたサイトから排除されることになるのは確かであり、そして現状でSilverlightはかなりの程度に普及し始めているのである。

Chad Filesは、10年以上のアプリケーション構築経験を有するソフトウェア開発者兼ライターであり、現在は様々なオープンソース系プロジェクトに開発者として参加している。

Linux.com 原文