Entertainerでスタイリッシュにマルチメディアを再生する
EntertainerはPythonで書かれたアプリケーションで、データベースとしてSQLiteを使用している。またIMDBウェブサイトから映画情報を取得するためにpyIMDBを使用している。Entertainerを使用するには、まずSubversionがインストールしてあることを確認してから、「svn checkout http://entertainer-media-center.googlecode.com/svn/trunk/ entertainer
」を実行すれば最新のビルドを入手することができる。なおシステムに最新のpython-pyinotifyパッケージとpython-cddbパッケージがない場合には、それらをインストールする必要もある。その後、(現時点でのEntertainerではまだ各ファイルを自動的に作成することができないので)/entertainer/cfg/ディレクトリの内容を ~/.entertainerにコピーしよう。
Entertainerを使い始めるためには、まずはバックエンドを起動する必要がある。そのためには/entertainer/srcディレクトリに移動してentertainer-backend.py
スクリプトを実行しよう。次に、同じディレクトリでentertainer-content-management.py
を実行する。すると設定ウィンドウが表示されてマルチメディアコンテンツがあるディレクトリのパスを設定することができるので、そこでビデオ/オーディオ/画像ファイルがある場所を指定すれば良い。あるいは/entertainer/cfg/content.confファイルを手動で編集してパスを追加しても良い。
Entertainerの設定は、entertainer-preferences.py
スクリプト経由で行うことができる。このスクリプトのウィンドウでは、バックエンドの自動的な起動や、GNOMEパネルの通知領域でのトレイアイコンの表示や、各インターフェース効果のオン/オフ/選択や、新しいテーマのインストールなどといった設定を行うことができる。Entertainerは未完成のプログラムなので、Recording(録画)タブも表示はされるのだが設定項目は何もない。テーマは1種類のみインストールされている。またインターフェース効果は4種類ほど用意されていて、メニューとEntertainerの各画面に適用することができる。マルチメディアコンテンツのインデックスを構築する際には、Entertainerが各エントリを読み取ってSQLiteデータベースに挿入する。インデックスの作成には時間がかかるが、我慢強く待とう。
すべてを設定し終えたら、/entertainer/srcディレクトリで./entertainer-frontend.py
を実行してフロントエンドを起動しよう。Entertainerの見掛けは洗練されていてアニメーション効果もあって、Appleの製品に似た印象だ。音楽CDを再生したい場合には、CDドライブに挿入してメインメニューからPlay CD(CDの再生)を選択すれば良い。ただし私が試したところ、CDDBからアーティスト名、アルバム名、楽曲名を検索することはできたものの、カバー画像の表示はできなかった。さらに言えばドライブ内にCDはないと表示されていた。
Television(テレビ)メニューは、TVチューナー機能がまだ実装されていないため、選択しても何も表示されない。
Video(ビデオ)セクションは、Movies(映画)、TV-Series(TVシリーズ番組)、Video clips(ビデオクリップ)という3つのサブセクションに分かれている。ビデオメディアは適宜これらの各サブセクションに分類されるのだが、分類が間違っていることもある。映画は、ローカルまたはオンラインのサーバに利用可能なカバー画像がある場合にはカバーモードで表示される。さらに矢印キーを使って各カバー画像を選択すれば、それに合わせて映画の題名、ランキング、製作年、短い内容説明などのIMDB情報が表示される。
Entertainerの優れた機能の一つとして、ビデオファイルの再生中にもメニューを利用することができるという点がある。ビデオファイルの場合、ビデオファイルはバックグラウンドで透過的に表示され、メニューは通常通りに操作できる。なお「P」キーを押せばマルチメディアファイルの再生を一時停止、「S」キーを押せば完全に停止することができる。「F」キーを押せばフル画面モードをオン/オフすることができる。「H」キーかバックスペースキーを押せば、メインメニューに戻ることができる。
Music(音楽)セクションの内容は、アーティスト名のアルファベット順に表示することもできるし、アルバムのカバーのサムネイル画像のギャラリーとしてカバーモードで表示することもできる。楽曲の再生中は、アルバムのカバー画像が画面左側に表示され、再生の残り時間と合計時間を示す横長のバーが表示される。右矢印キーを押せば歌詞の画面が出て、再生中でも歌詞をスクロールして表示することができる。また「X」キーや「C」キーを押せば、再生中の楽曲の5秒前または5秒後に移動することができる。
画像ファイルに関しては、各ディレクトリがテキストで一行で表示され、全ディレクトリが一覧表示される。その際、各ディレクトリの中にあるファイルの数も右側に表示される。一覧の中のディレクトリの一つを選択すると、最初の3つの画像がフェードイン/フェードアウトするアニメーションの形で左側にあるプレビュー領域内に表示される。ディレクトリの中のファイルは、サムネイル画像として表示される。ただ各プレビュー画像の間に区切りの余白がないため、探している画像を素早く見つけるのはやや困難だ。
Headlines(ヘッドライン)メニューでは、Entertainerの設定ウィンドウで登録したRSSフィードの「タイトル」「テキスト」「フィードが更新された日時」が表示される。ただしフィードにリンクや画像が含まれていた場合、それらは表示されずにテキストだけが表示される。Headlines(ヘッドライン)セクションのメインメニューからは、RSSエントリを更新したり、名前で並び替えたり、すべてのタイトルに既読マークを付けたりすることができる。
Weather(天気)プラグインは、Yahoo! の天気予報ページの古いURLを使用していて、現在は機能しない。
まとめ
Entertainerは大きな可能性を秘めている。マルチメディア用フレームワークとしてGStreamerを使用することで、非常に幅広いオーディオ/ビデオ形式を再生することができる。またPythonベースのため、プラグインの開発もかなり簡単に行うことができるはずだ。ただ、カバー画像やIMDB情報を手動でダウンロードすることができるオプションがあれば非常に嬉しいと思った。また現在のところ、ファイルのインデックスを作成するには、フロントエンドを終了して設定用スクリプトを使用するしかないという難点もあった。
開発者のブログによるとEntertainerの今後のビルドでは、RSSセクションでのOPMLファイルのインポート、ビデオファイルのサムネイル、オーディオCDのカバー画像、ユーザインターフェースの改良などが実現されるとのことだ。またスクリーンショットを見る限り、次期バージョンでは特殊文字も正しく表示されるようだ。
ただ残念なこととしてEntertainerは、インデックスを作成する時だけではなく通常の実行時にも大量のCPUパワーを消費する。そのため、Freevoと比べると見掛けは五つ星なのだが、内部的な点を考慮するとFreevoを使い続けた方が良いように感じた。またローカルネットワーク経由のファイルにアクセスしたい場合には、Entertainerでは今はまだそのような機能がサポートされていないので、別のメディアセンタープロジェクト(例えばGeeXboxなど)を使った方が良いかもしれない。
とは言え、Entertainerには試してみる価値が十分にある。古いPCでもLinuxを使って、非常にスタイリッシュなメディアセンターの画面をワイドスクリーンTVに映し出せば、みんなを驚かせることができるだろう。
Razvan T. Colojaは雑誌やオンラインメディアで150以上のLinux/IT関連の記事を執筆している。ルーマニアの雑誌の編集者であり、ルーマニアのLinux/OSSポータル/コミュニティwww.mylro.orgのメンテナ/編集者の一人でもある。