インテル、グリーンITを支える次世代CPU技術を披露
インテルのCPUは、2007年に45nm(ナノメートル)製造プロセスへと微細化が進み、トランジスタ数も80億個を集積するほどに高性能化が進んでいる。同社は今後もムーアの法則に則り、2年ごとにCPUの製造プロセス革新を推進する方針だが、Borkar氏によれば、微細化が進むほどパフォーマンスや電力効率の向上ペースがスローダウンしてきたという。
その一方で、アプリケーションによってはTFLOPS(テラフロップス)レベルのコンピューティング性能が求められるようになっており、インテルとしては継続的なCPU性能の向上および低消費電力化が今後の技術開発の焦点となる。そこでBorkar氏が示したのが、さらなるCPUのマルチコア化である。
Borkar氏は、22nm製造プロセスのCPUを例に挙げ、同じチップ・サイズで12コア/48コア/144コアとコア数を変えたときのトータル・パフォーマンスの比較データを披露した。それによると、2つのアプリケーションを並列処理する場合は、48コア/144コアよりも、コア当たりの性能が高い12コアのほうが処理能力が高いという結果が示された。しかし、並列処理するアプリケーションの数が4つ以上になると、よりコア数を増やしたほうが全体でのパフォーマンス向上に結びつくと、Borkar氏は説明した。
「これからは1つのコアを高性能化するよりも、マルチコア化によるトータルでのスループット向上が重要になる」(Borkar氏)
また、Borkar氏は、コアごとに電力を細かく制御することで得られる省電力効果を紹介。「あるコアはフル稼働させ、あるコアは70%程度で稼働させるなど、各コアを細かく電力制御することで、高性能化しつつ消費電力を抑制できる」(Borkar氏)。そのほか、過剰に発熱したコアの稼働を停止し、別のコアへシームレスに動作を継続させるコア間でのホッピング機能や、メモリ・バスの高速化を実現するチップの積層技術なども、Borkar氏によって紹介された。
Borkar氏は最後に、「さらなるマルチコア化のためにクリアしなければならない課題は多く残されているが、われわれはエンジニアとしてこれからも挑戦し続ける」と、いっそうの技術開発に向けて意気込みを語った。
(山上朝之/Computerworld)
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