Dell、商標を不正利用する“サイバースクワッター”を提訴――1,100件の不正ドメイン名を登録・使用したとして賠償金100万ドルを請求

 米国Dellと子会社の米国Alienwareが、ドメイン名登録業者数社を相手取り、訴訟を起こしていることが明らかになった。Dellは、これら業者がDell所有のドメイン名と酷似したドメイン名を登録し、不正に利用する「サイバースクワッティング」行為を行い、商標を侵害したと訴えている。

 提訴されたのは、ドメイン名登録会社のBelgiumDomains、CapitolDomains、DomainDoorman、Netrian Ventures、IHoldings.com、およびカリブ諸島に本拠を置き、ドメイン名登録を行うその他複数のペーパー会社。また、マイアミ在住でこれらの業者とつながりがあるフアン・パブロ・バスケス(Juan Pablo Vazquez)氏も被告として挙げられている。

 裁判所文書によると、この訴訟は10月にフロリダ南部連邦地方裁判所に提起され、11月16日に公表された。この訴訟は被告に通知せずに、非公表扱いで起こされたが、それは被告が国外に脱出したり、証拠を隠滅したりするのを防ぐためだった。捜査当局が被告の資産(サイバースクワッティングに関連するコンピュータ、サーバ、携帯端末、記録、データ、電子メディアなど)を差し押さえたことを受け、Dellは裁判所に訴訟の公表を請求し、裁判所はこれに応じた。

 Dellは訴状で、「被告は、これまでで最も大規模で悪質なサイバースクワッティングの手口の1つを用いてきた」と主張している。米国では、利益目的で他者の商標に似たドメイン名を登録、販売、使用するサイバースクワッティングは、1999年施行の「反サイバースクワッティング消費者保護法(Anticybersquatting Consumer Protection Act)」という連邦法で違法とされている。

 なお、DellからもVazquez氏の弁護士からもコメントは得られていない。

 訴状によると、被告は、「dell」という文字列を含む、Dellの商標と紛らわしいドメイン名やそのバリエーションであるドメイン名1,100件を登録、使用したという。またDellは、被告は多数の有名企業の商標を侵害する数十万件のドメイン名を登録したとも主張している。

 さらにDellは、被告がDellのWebサイトにアクセスしようとするユーザーを自社サイトに不正に誘導することで、多額の利益を得ていると主張している。例えば、ユーザーがDellのWebサイトのURLである「dellfinancialservices.com」を、誤って「dwllfinancialservices.com」と入力した場合、被告の所有する広告を多数掲載するWebサイトにリダイレクトされる。この手口は「タイポスクワッティング」とも呼ばれている。

 裁判所文書によると、Dellは被告によるタイポスクワッティングは偽造行為に等しいとも主張しており、反サイバースクワッティング消費者保護法の下でドメイン名1件当たり最低10万ドル、偽造法の下で最高100万ドルの賠償を求めている。

 米国Banner & Witcoffの知的財産弁護士、リチャード・ストックトン(Richard Stockton)氏は、「これは興味深い訴訟だ」と語る。「反サイバースクワッティング法に基づく訴訟で勝訴するには、不正な意図を証明しなければならない。だがこの訴訟の場合、被告はDellの商標を含むドメイン名を1,100件も登録しているのだから、不正な意図の存在は明らかだ。Dellが勝訴する可能性は高い」(Stockton氏)

(Linda Rosencrance/Computerworld オンライン米国版)

米国Dell
http://www.dell.com/
米国Alienware
http://www.alienware.com/

提供:Computerworld.jp