Microsoft、より柔軟なSOA構築を目指す新構想「Oslo」を発表――コンポジット・アプリケーションの開発プロセスを簡素化

 米国Microsoftは10月30日、SOA(サービス指向アーキテクチャ)の枠内におけるコンポジット・アプリケーションの開発プロセスを簡素化するための新構想「Oslo」(開発コード名)を発表した。

 Microsoftのコネクテッド・システムズ部門の製品管理担当ディレクター、スティーブン・マーチン氏は、Osloから生まれるツールを使えば、データセンターでは社内用として稼働し、SaaS(Software as a Service)モデルでは社外用として稼働する柔軟なアプリケーションが開発できると説明している。

 マーチン氏は、複数の企業が連携して事業を展開する際にも、同構想が威力を発揮すると語った。同氏は、企業ごとのサービスやソフトウェアを組み合わせるためのアプリケーションを構築するには、まずモデリング作業を行う必要があるとしたうえで、現在のモデリング手法が、各種のモデルを限定的にしか示すことができないという問題を抱えていると指摘した。

 「Osloは、アプリケーション・プラットフォームの要素を統一するための技術を開発し、モデル駆動の開発手法を広く普及させるための取り組みだ」(マーチン氏)

 Microsoftによると、Oslo構想では、System Center、Visual Studio、BizTalkの次期バージョンでメタデータ・リポジトリをアップデートし、各種モデルの管理、バージョニング、導入作業に使用できるようにする計画という。併せて、以下のような計画が盛り込まれている。

  • BizTalk Serverを強化し、コンポジット・アプリケーションの開発、管理などをサポートする。
  • 有料サポートのついたWebベースのサービスをBizTalk Servicesに追加し、複数の組織にまたがってホスティングされているコンポジット・アプリケーションをサポートできるようにする。
  • BizTalk Serverに先進的なメッセージングやアイデンティティ、ワークフロー機能を付け加える。
  • .NET Frameworkでのモデル駆動開発を促進する。
  • Visual Studioの次期リリース時に、分散アプリケーションのモデル駆動開発に対応する新しいツールを追加する。

 Oslo構想から生まれたアップデートを含む各種ツールのベータ版は、2008年に投入される予定だ。なお、Osloに含まれる製品で、すでに出荷日が発表されているものについては変更がない。

 調査会社Gartnerのアナリスト、マッシモ・ペッツィーニ氏は、今回の発表について、SOAをサポートするためのワークフロー技術やビジネス・プロセス管理ツール、レジストリやリポジトリなどの重要なコンポーネントをそろえることで、OracleやBEA Systems、IBMに追いつこうとするMicrosoftの取り組みの一環と指摘する。

 ペッツィーニ氏はまた、モデル駆動のアプリケーションの全ライフサイクルに対応する統合メタデータ・リポジトリの開発計画を打ち出すことで、Microsoftが業界全体の水準アップを狙っているとの見方も示している。

 「理論上、.NETコンポーネントやASP.NETコンポーネント、およびMicrosoft以外のコンポーネントで構成されるコンポジット・アプリケーションを開発することもできる。各種のコンポーネントを結び付けるための方法を示すモデルが用意されているからだ」(ペッツィーニ氏)

 しかしペッツィーニ氏によると、今のところOslo構想は「具体的な計画というよりもビジョン」という性格が強く、製品が投入されるのは12カ月から24カ月先になると見ている。同氏はまた、Oslo構想の中で開発された機能を搭載するBizTalkやVisual Studio、System Centerなどの次世代バージョンでは下位互換についても明確化する必要があると指摘、「既存ユーザーにとっての移行パスが大きな問題になる。これまでMicrosoftは、下位互換についてあまり注意を払ってこなかった」と語った。

(ヘザー・ヘイブンステイン/Computerworld オンライン米国版)

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提供:Computerworld.jp