MySQL、Googleが開発したコードを採用へ――2009年リリース予定のバージョン6.1から組み込み

 オープンソースRDB「MySQL」の開発元であるスウェーデンのMySQLは10月23日、フランスのパリで開催したユーザー・コンファレンスでMySQLの開発ロードマップを発表した。それによると、MySQLの将来版にはGoogleが開発したコードが組み込まれるもようだ。

 MySQLの共同創設者でバイスプレジデントのデビッド・アクスマルク氏によると、Googleは今年、他社のコードをMySQLに追加する場合の方針などを定めた、CLA(Contributor License Agreement)と呼ばれるMySQLのライセンス合意書にサインしたという。

 Googleが自社の分散システムに関して秘密主義を貫いていることは有名だが、同社が世界でも有数のMySQLユーザーであることはよく知られている。Googleは全世界で何千台ものMySQLデータベースを運用していると言われている。

 「自社のニーズを満たすべく、Googleはこれまで数々のカスタマイズをMySQLに施してきた」とアクスマルク氏は語る。同氏はカスタマイズの一例として、大量のデータベース・インスタンスを監視できるツールの開発を挙げた。

 MySQLによると、2008年後半に一般リリースが予定されているMySQL 6.0はすでに機能が固まっており、Google製のコードが組み込まれるのはその次のバージョンになる見込みだ。おそらくは2009年早くにリリース予定のバージョン6.1以降になるという。

 GoogleにとってMySQLとの協業は、自社のコードが正式なMySQL製品に組み込まれるという点で大きなメリットとなる。一方、MySQLの側にも、Googleが開発したコードを活用するチャンスが得られる。

 ただし、GoogleのコードをMySQLに組み込むのがかなりの手間になることは否定できない。MySQLがサポートしている15種類前後のOSに合わせて、コードの移植やテスト、文書化などを行う必要があるからだ。

 今回明らかにされた開発ロードマップによると、2009年遅くにリリース予定のMySQL 7.0では企業ユーザー向けのセキュリティ強化が予定されている。具体的には、ロール・ベースやグループ・ベースのセキュリティ機能のほか、透過的なデータ暗号化がサポートされる見通しだ。MySQLではこうしたセキュリティ強化により、金融や政府、小売り分野の顧客を確保したい考えだ。

 また2008年後半にリリース予定のMySQL 6.0において、「InnoDB」から「Falcon」へとストレージ・エンジンが変更されるのもトピックの1つである。従来からMySQLには InnoDBが採用されてきたが、2年前にOracleがその開発元であるフィンランドのイノベースを買収したため、MySQLはFalconへの変更を望んでいた。

 MySQL 6.0のマイナー・バージョンアップ版となるMySQL 6.1は2008年半ばにベータ版が公開され、2009年に一般リリースされる予定だ。このバージョンでは、プリペアド・ステートメントやサーバ・サイドのカーソル機能などが改善されることになっている。

 ちなみに、数年前からうわさになっているXMLのネイティブ・サポートに関して、アクスマルク氏は「現在は顧客の要望を見極めている段階」と明言を避けた。ただし、XMLのサポート機能はバージョン5.1でも一部採用されている。

(ジェームズ・ニコライ/IDG News Service パリ支局)

MySQL(スウェーデン)
http://www.mysql.com/

提供:Computerworld.jp