openSUSE 10.3にアップグレード

 openSUSE 10.3が先週リリースされたので、早速ダウンロードして2台のopenSUSEマシンをアップデートした。この記事ではアップデートの様子と、その際に遭遇したいくつかの問題点について報告する。

 前バージョンのopenSUSEは5枚または6枚組みのCDだったため、ダウンロードするのが面倒だった。OpenSUSE 10.3ではKDEかGNOMEのどちらかの版のCD 1枚だけをダウンロードして作成すれば必要なものがすべて揃うようになっている(あるいは、以前の5枚組みCDとほぼ同等の内容である4GBのDVDイメージをダウンロードすることもできる)。今回はopenSUSEのサイトへ行って32ビットのKDE版を選択して、Azureusを使ってBitTorrent経由でISOイメージをダウンロードした。そしてK3bを使ってイメージをCDに焼き、チェックサムを再確認した。これでインストールの準備が整った。

 様々な言語で表示されるウェルカム画面の後、最初のメニューでいくつかの選択肢が表示されるが、「Installation(インストール)」を選択すれば良いだろう。Enterを入力するとカーネルが読み込まれ、ハードウェアの認識作業が始まって細長い白色のプログレスバーが表示された。なお私のシステムではインストール開始の画面が表示されるまでに7分以上かかった。

 このとき「Add Online Repositories Before Installation(インストールの前にオンラインレポジトリを追加)」を選択すれば、「Include Add-On Products from Separate Media(別メディアからアドオン製品を含める)」を指定する必要はない(ここで「別メディア」というのはダウンロードしなかった別のCDのことだ)。当然ながらこの種のインストールを行なうためにはネットワークアクセスが不可欠だ。ネットワークカードの認識が終わると、「Automatic Address Setup by DHCP(DHCPによる自動アドレス設定)」か「Static Address Setup(静的アドレス設定)」のどちらかを選ぶことになる。DHCPオプションを試してみたところwww.SUSE.comに接続することができなかったので、もう一方のオプションを試してみた。私の家庭内ネットワークで有効なIPアドレス、ネットマスク、ゲートウェイ、DNSアドレスを入力する必要があったが、問題なく接続することができるようになった。

 (ちなみに、サーバをアップデートする方法が分からなかった。ADSL接続をしているのだが、ADSL接続のためのユーザ名とパスワードを指定する方法が見当たらなかった。単にDVDを作成すれば良いだけなのかもしれないが。)

 ネットワーク接続に成功すると、インストーラがレポジトリへの接続を開始する。その後、アップデートを行なうパーティションを選択する必要がある。ところがここでopenSUSEが、存在しないはずの/dev/sda3というドライブを表示したので驚いた。どうやらopenSUSE 10.3ではATA / SATAドライブにlibataを使うようになったため、すべてのhd*がsd*という名前に変わったようだ。つまり/dev/hda3が/dev/sda3になったということのようだった。

 またインストール中に/bootパーティションのための十分な空き容量があるかどうかの確認が行なわれたのだが、空き容量が少なすぎる――openSUSE 10.3では64MBが必要なのに対して60MB「しか」ない――という気にかかるメッセージが表示された。そこでデスクトップマシンを確認してみたところ、16MBあれば十分のようだということがわかったので、この警告を無視して先に進んだ。結果的には/bootには15MBほどしか必要ではないことが分かった。

 最後に、レポジトリを選ぶことのできるステップがあった。3つのオプションがあるが、非OSSとOSSの2つを選択するのが良いだろう。3つ目のオプション(DEBUG)はテスト/デバッグ用だ。オプションの選択を終了すると、インストーラがパッケージ情報のダウンロードを開始する。これにはかなり時間がかかるが、少なくとも忙しく変化するメッセージやプログレスバーが表示されるので、何か実際に作業が行なわれているということを感じることはできる。

 パッケージ情報をすべて取得し終えたら、インストールするパッケージや削除するパッケージを選択して、起こり得る互換性問題のすべてをどのように修正するかを決めよう。個人的にはここで簡単な方法を選んだ。すなわちopenSUSEがパッケージについての非互換性を報告する度に、そのパッケージを削除するオプションを受け入れるが、そのようなプログラムはすべてメモしておいて、アップデート作業が終わった後にインストールし直すようにした。私はYASTよりもSmartの方が好みなので、YASTが解決できない非互換性があっても気にしなかった。

 インストールする新しいパッケージは、「パターン」に基づいて選択することもできる。各パターンはそれぞれ、特定の機能やプログラムのグループ――例えば「KDEベースシステム」や「リモートデスクトップ」――に大まかに対応している。各グループには短い説明しか付けられていないので、実際に何がインストールされるのかは分からなかった。

アップデート

 インストール内容を確定すると、実際のインストールプロセスが開始する。そしてスライドショー/詳細/リリースノートという3つのタブがある画面が表示される。最初のタブは長めのコマーシャルのような感じでopenSUSEに関するスライドをたくさん表示する。インストールプロセスをより詳しく把握したければ、2つ目のタブに切り替えると良いだろう。私の場合、合計で5GB近くになる500個のパッケージをダウンロードしようとしていることが分かった――そのため、ダウンロード時間を節約しようとしてCD版をダウンロードしたりせず、はじめからDVD版をダウンロードすれば良かったと後悔した。全プロセスは約4時間かかると予測された(当然ながらこの予測時間はネットワークの速度とインストールするように指定したパッケージの数次第だ)が、何千人ものユーザが同時に同じレポジトリに接続していたため、さらに長い時間がかかった。

 ダウンロードの最中には、エラーが表示される可能性がある。その場合にはエラーが出たパッケージをメモしておき、後で再インストールするようにしよう。私の場合、(おそらくネットワーク接続が原因で)いくつかの問題が起こった。ただし気がかりなエラーメッセージは一つだけで、ブートプロセス自体に関わるパッケージであるGRUB関連のパッケージがダウンロードできなかったことについてのエラーメッセージだった。他に方法がなかったためダウンロードをそのまま続行したが、ラップトップが起動しない恐れがあることを覚悟した。そして結果的に、その通りになってしまった。

ブート

 openSUSEはダウンロードが完了すると再起動の準備を開始して、ブート用の設定ファイルをアップデートする。私の場合、複数のカーネルをインストールしていたのだが、(おそらく/dev/hd*が/dev/sd*に変わったことに関連して)何かアップデートプロセスにとって問題になることがあったのか、途中で止まってしまった。アップデートプロセスでは手動で修正する方法も提供されているが、それをやってみてもうまくいかなかったので、結局一からやり直して推奨されていた設定を選んだ。幸運にも順調に行ったので、再び再起動しようとした――が、やはり再起動はできなかった。

 このような事態になった場合、「1. データは安全であるということ」と「2. もう一度インストールを試すこと」を覚えておくと役に立つかもしれない。もう一度やり直してみたところ、嬉しいことに、アップデートをする必要があるのは100MB以下と表示され、再び何時間もかけてアップデートをする必要がないことが分かった。そしてこのアップデートでは問題はまったく起こらなかった。最終的にブート画面に到達して、まったく問題なく再起動することができた。

 システムは次に、最初の設定を開始した。リリースノート、パッケージ、レポジトリ情報などをダウンロードした後、オンラインアップデートを行なうように勧めてきた(そしてこれを実行したのでさらに待ち時間が必要になった)。しかし最終的には、使うことのできる状態のマシンを手にすることができた――いや正確に言うと「ほぼ」使うことのできる状態のマシンだ。

修正

 openSUSE 10.3は見掛けが良くて、新しいオプションやパッケージも数多く含まれているが、いくつかの問題点があった。

  • libataへの変更により、hdparmの設定が無効になった(ただし不思議なことにインストールによってhdparmプログラムが削除されることはなかった)。hdparmの設定が無効になるということは、最適化作業翻訳記事)を行なっていたのに「最適化前」のレベルに逆戻りするということなので、これからhdparmと同じパラメータを調節することのできるプログラムを新しく探すつもりだ。
  • ブートプロセスが非常に低速だった。ブートメッセージを確認したところ、この低速化の原因はATAに関係があるようだった――「ata」から始まるメッセージが何十個も表示されていた。
  • ネットワークデバイスの設定を覚えておくことができないようで、ブートの度に再設定する必要があった。当初この問題はSCPMに原因があるのかもしれないと考えたが、SCPMを無効にしても変わらなかった。アップデートプロセスを3度実行することでうまくいくようになったので、この問題は最終的には修正することができたのだと思う。
  • 音が出ない。Googleで調べてみたが、数多くの人がこの問題を経験したようだ。alsaconfを使ってみたところサウンドカードを使えるようになった(そのおかげで今では音楽を聞くことができるようになった)が、ブートメッセージを確認してみるとAC97コーデックについてのエラーがいくつか出ていたので、まだ完璧な状態ではないようだ。
  • ログイン時の「セッションタイプ」オプションの一部が機能しない。例えばKDE/Openboxというオプションがあるが、このオプションを選択しても通常のKDEが起動した。

まとめ

 私はopenSUSEを気に入っていて、過去数年に渡って使用してきたのだが、インストールがこれほど厄介で、ウェブで解決法を探してもなお、すぐに修正できないようなエラーがあったのは今回が初めてだった。あらゆる新版にバグは付き物だということはよく理解しているつもりだが、もっと優れたものを期待していた。openSUSEの使用をやめるつもりはないが、残りの問題点を片付けるのにあまり時間がかからないことを願うばかりだ。

Federico Kerekiはウルグアイのシステムエンジニア。20年に渡るシステム開発、コンサルティング、大学講師の経験がある。

Linux.com 原文