Dell、デスクトップ環境の配信システムを発表――OSやアプリをCitrix製ソフトでクライアントPCに配信

 米国Dellは10月10日、ソフトウェアやデータをデスクトップ・クライアントに配信して使用できるようにする「On-Demand Desktop Streaming」を発表した。

 On-Demand Desktop Streamingを使用すれば、サーバに格納されたOSやアプリケーション、データを、ギガビットEthernetスイッチ経由でデスクトップ・クライアントにストリーミング配信できる。同システムは、ディスクレスPC「OptiPlex 745/755」、x86サーバ「PowerEdge 2950」、ギガビットEthernetスイッチ「PowerConnect」、配信サーバ「Citrix Provisioning Server」などから構成される。

 Dellのシニア・バイスプレジデント、ジェフ・クラーク氏は、「(On-Demand Desktop Streamingにより)多数のデスクトップ・クライアントを1台のサーバで集中的に管理することが可能になる。その結果、デスクトップ管理にかかる負荷が減り、企業はリソースをコア・ビジネスに振り分けることができる」と述べた。

 同システムは、デスクトップ・クライアントのセキュリティ向上にも寄与する。アプリケーションやデータを中央のサーバで管理するため、ウイルスが他のクライアントに拡散したりする危険性は低い。

 また、エンドユーザーにとっては、柔軟なコンピューティングというメリットも得られる。データが中央サーバに格納されているため、「オフィス内のPCにかぎらず、任意の場所からでもデータにアクセスできる」(クラーク氏)からだ。

 On-Demand Desktop Streamingの平均価格はクライアント1台当たり1,100ドルで、1台のサーバでサポートできるクライアント数は100となっている。

 調査会社カレント・アナリシスのシニア・アナリスト、トニ・デュボアーズ氏は、On-Demand Desktop Streamingを前向きに評価しながらも、このようなシステムの潜在ユーザーは限られると語った。こうしたインフラの変更は多額の投資を必要とするからだ。

 「ITリソースを中央に集中させることは、ある程度理にかなっている。しかし、それには多額の投資が必要だ。インフラの変更を目指している顧客や大規模企業などは、よろこんで試用するかもしれないが」(デュボアーズ氏)

 一方、イルミネータの首席ITアドバイザー、ゴードン・ホフ氏も、大多数の企業は既存のPCインフラを維持することに満足していると語り、デュボアーズ氏の見方に同調する。ただ、デスクトップ管理に変化を求める企業も一部には見られるという。

 なお、Dellは同日、企業のIT環境の複雑さと効率性をさまざまな角度から判定する「IT Simplification Self-Assessment」ツールも発表している。

(アガム・シャー/IDG News Service サンフランシスコ支局)

米国Dell
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提供:Computerworld.jp