欧州Googleのエンジニアリング責任者に元IBMのトップ技術者が就任
マトス氏は、IBMに15年間在籍し、最近ではIBM Researchのバイスプレジデント兼DEとしてデータ管理と検索などのプロジェクトを担当していた。IBMのWebサイトに掲載されているプロフィールによると、同氏はデータベース「DB2」の開発で重要な役割を果たすとともに、標準化団体でIBMの代表を務め、IBMの情報インテグレーション部門をゼロから築いて主要事業に育てたとされている。
マトス氏は、欧州地域を統括するGoogle初のエンジニアリング担当バイスプレジデントとして、プロジェクト・チームの管理と域内の新規エンジニア採用の責任を負うことになる。
Googleがマトス氏を欧州地域のエンジニアリング責任者に任命した背景には、同地域での事業強化が急務になっているとの事情がある。同社の検索エンジンは欧州の大多数の国でシェア1位だが、地図作成やオンライン・ビデオなどの分野では、地元の強力な競争相手に苦戦している。
Googleの欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域の従業員数は約2,500人で、その約3分の1はエンジニアだ。同社の総従業員数は今年6月末時点で1万4,000人近くに上るため、EMEA地域は比較的小さな割合しか占めないが、同社は欧州での躍進が成長のカギになるとみてエンジニアの増員を急いでいる。
GoogleはEMEA地区の各都市(ロンドン、ダブリン、ミュンヘン、モスクワ、テルアビブなど)に計12の研究開発センターを持っている。そこではエンジニアが、ローカル市場向けの製品のみならず、全世界向けの検索や広告サービスなどに取り組んでいる。
27日付けの『Financial Times』紙によると、Googleは従業員を今後数年以内に3割以上増やす計画で、増員の大半は欧州で行われる見込みだ。マトス氏は同紙に対し、EMEAのエンジニアリング・チームを北米と同規模に拡張する計画だと語った。
マトス氏はさらに、欧州でのGoogleのイメージ向上を図るとしている。「当社は欧州で正しく見られていない。わたしの印象では、金もうけのためにやってきた米国の大企業と受け止められている」(マトス氏)
Googleのイメージが欧州でよくない理由の1つは、Google Newsが著作権侵害で訴えられたことにある。例えば、ベルギーの裁判所は今年2月、Google Newsによる記事抜粋の行為が著作権侵害に当たるとの判断を下している。
(ジェームズ・ニコライ/IDG News Service パリ支局)
米国Google
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提供:Computerworld.jp