EU裁判所、Microsoftに対する欧州委員会の独占禁止裁定を支持

 欧州連合の裁判所は、月曜、Microsoft社がライバルに勝つために市場での支配的地位を乱用したとの2004年裁定に対するMicrosoftの不服申し立てを棄却した。Microsoftの弁護団は欧州第一審裁判所に感銘を与えることができなかった。同裁判所はこの申し立てを棄却したばかりか、Microsoftに科せられた4億9700万ユーロ(6億9000万ドル)の制裁金に対する不服申し立ても棄却した。更新:Red Hatは欧州委員会の裁定について声明を出した。

 2004年、欧州委員会(EC)はMicrosoftに対して不利な裁定を下し、MicrosoftがMedia PlayerをWindowsオペレーティングシステムにバンドルしていることと、ライバルにとって自社製品の販売に必要となる技術情報の提供を拒否していることを違法であると認定した。Microsoftの弁護団はメディアプレーヤーの競争状況の変化に言及し、AppleのiTunesなどの製品によって、この分野が2004年の時点よりも競争的になっていると主張した。

 Free Software Foundation Europe(FSFE)とSAMBAプロジェクトによる共同プレスリリースは裁判所の今回の判決を歓迎している。FSFEの会長であるGeorg Greveは次のように言っている。「米国を含めた世界の他の地域で独占禁止プロセスをうまく挫折させることにより、Microsoftはこの日が来るのを何とか10年近くも引き延ばしてきた。しかし、欧州委員会の粘り強さと卓越した働きのおかげで、Microsoftのこうした戦術はヨーロッパでは失敗に終わった」

 判決が出る少し前に、Microsoftは同社のOffice Open XML形式をISO標準として早期に承認させることに失敗している。Microsoftにとってさらに悪いのは、IBMやSunといった主要な競争会社が、昨年にISO標準として承認されたOpen Document Formatを支持して寄り集まっていることだ。

 裁定によれば、Microsoftは2か月以内にECの裁判所に控訴できる。

Red Hatの声明(更新):

RALEIGH, N.C.–(BUSINESS WIRE)–Red Hat(NYSE: RHT)(オープンソースソリューションの世界的リーディングプロバイダ)は欧州委員会とMicrosoftの問題に対するルクセンブルクの第一審裁判所の判決について次の声明を発表した。

「Microsoft問題に対するルクセンブルクの第一審裁判所による本日の判決は、ヨーロッパにおいても世界においても、イノベーションと消費者の選択にとって重要なニュースである。同裁判所は、独占企業が市場での支配的地位を利用して消費者を囲い込み、新たな競争相手を抑えつけることを、競争法が禁止していることを認めた」とRed Hatで議長兼CEOを務めるMatthew Szulikは言う。「我々のビジネスでは、相互運用性情報が非常に重要であり、競争を排除する目的でこれを与えないことは許されない。競争がイノベーションの原動力となって消費者価値を高めるというのがRed Hatの企業信条であるとすれば、我々は今回の判決を全面的に歓迎するだろう。これから判決を仔細に検討できるのを楽しみにしている。Red Hatはこの問題を成功に導いた欧州委員会の粘り強さと勇気、とりわけにNeelie Kroes委員と彼女の尽力に祝意を表したい」

Linux.com 原文