提出期限はひとまずクリア:Microsoft、欧州委に追加情報を提出

 米Microsoftは11月23日、欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会に対し、Windows OSに関する最新技術情報を提出した。提出された情報は、今年7月に欧州委に提出した情報を大幅加筆し、最新の技術情報を追加したもの。Microsoftでは、今回の情報提出を「重要なマイルストーン」と位置づけている。

 Microsoftは2004年、PC市場におけるWindowsの独占的な地位を乱用し、サーバ・ソフト市場などで強引な事業拡大を図ったとして、欧州委に独禁法違反と認定された。欧州委はMicrosoftに対し、Sun MicrosystemsやRed Hatなどの競合ベンダーがWindows PCと互換性の高いサーバ・ソフトを設計できるようにWindowsの技術情報を開示するよう義務づけている。

 欧州委の広報担当者であるジョナサン・トッド氏は、IDGの電話取材に対し、「今回はMicrosoftから検証に値する情報が提出された。今後競合ベンダーは、提出された情報が、Windows PCとシームレスに運用できる製品の開発に十分かどうかを検証することになる」と語った。

 技術情報の最終提出期限は11月23日で、Microsoftはかろうじて期限を守ったかたちだ。ただ、欧州委の独占禁止政策を統括するネリー・クルース競争政策担当委員は、提出期限の1週間前に、こうしたMicrosoftの対応に不満を表明。7月にMicrosoftが提出した文書を「不完全だった」と切り捨てたうえで、もし同社が2004年3月の独禁法違反是正命令にのっとった技術情報を提出しない場合は制裁金が科されることになると警告した。

 一方、Microsoftは「われわれは欧州委が設定した期限を順守した。今回の技術情報は、今年7月に提出した100件以上8,500ページにも及ぶ文書を、300人以上のエンジニアとテクニカル・ライターが参加して改訂した。これは前例のない取り組みだった」とのコメントを発表した。

 欧州委のトッド氏は、「もし競合ベンダーが、提出された情報ではWindows PCと完全な互換性を持つ製品の開発ができないと判断した場合、Microsoftは、7月31日以降1日当たり300万ユーロの制裁金を科されるだろう」とコメントした。さらに、7月の情報提出期限から今回の最終提出期限までの期間も罰金が科されるかどうかについて、「後日決定を下す予定だ」と述べている。

(ポール・メラー/IDG News Service ブリュッセル支局)

提供:Computerworld.jp