BEA、次世代アプリ開発を支援する新プロジェクト「Genesis」を明らかに――BEA主催の年次コンファレンス「BEAWorld 2007 San Francisco」が開幕

 「パッケージ型のビジネス・アプリケーションの時代は終わりに近づいている。今後は、SOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づいて開発された、ビジネスの変化にリアルタイムに対応できる次世代のコンポジット・アプリケーションの登場が求められる」──そう主張するのは、米国BEA Systemsの創設者で会長兼CEOのアルフレッド・チュアング氏だ。氏は、米国サンフランシスコで開催された同社の年次ユーザー・コンファレンス「BEAWorld 2007 San Francisco」(2007年9月11日~12日開催)の開幕基調講演において、ビジネスの変化にダイナミックかつ迅速に対応できる次世代ビジネス・アプリケーションの開発を促進する新プロジェクト「Genesis」の内容を明らかにした。

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「“シンプルな”エンタープライズ・コンピューティングの実現を促すことが、われわれのミッション」と力説する、米国BEA Systems会長兼CEO、アルフレッド・チュアング氏

 Genesisとは、特定の製品を指すものではなく、次世代のビジネス・アプリケーションの開発・運用・管理を、ライフサイクルを通して簡素化することを目指すBEAの新プロジェクトである。

 同社では、SOAベースのアプリケーションの要素と、Webベースのアプリケーションの要素を兼ね備えた次世代のビジネス・アプリケーションを「ダイナミック・ビジネス・アプリケーション」と呼んでいるが、チュアング氏によると、Genesisは、そうしたダイナミック・ビジネス・アプリケーションの開発を促進するためのプラットフォームとして位置づけられるという。

 「既存のBEA製品ならびに今後リリースされる予定の製品のすべてが、近い将来、Genesisプラットフォーム上で組み合わせて使用できるようになる」(チュアング氏)

 Genesis プラットフォームには、「BEA microService Architecture(mSA)」や「BEA WorkSpace 360°」によって構成される従来のSOA対応システム実装環境をはじめ、BPM(ビジネス・プロセス管理)やエンタープライズ・ソーシャル・コンピューティング関連の製品・技術が含まれる予定であるという。

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会場では、Genesisプラットフォームの一部として提供されるBEA WorkSpace 360°のデモが行われた

 チュアング氏は、「(Web 2.0の要素の1つである)マッシュアップのように、複数のWebサービスのAPIを組み合わせて、1つのアプリケーションとして再構築できる時代が到来したことで、より高い生産性が求められるようになり、よりユーザー指向の強いアプリケーションの登場が期待されるようになった。そうした時代背景にフィットしたアプリケーションを開発するためには、Genesisのような、ダイナミックな変化に対応できるアプリケーション開発環境が必要になる」と強調した。

 また、Genesisプラットフォームの提供にあたっては、SaaS(Software as a Service)モデルに基づいたユース・ベースの料金体系を採用する可能性があるという。チュアング氏は、「ユーザーからの要望次第で、SaaSのようなオンデマンド・モデルにも対応しなければならないだろう。100%SaaSモデルに移行するというわけではないが、個人的にはできるだけ早く移行したいと考えている」との見解を示した。

 なお、BEAでは今後、Genesisプロジェクトの推進に伴い、RubyやPerlなどのスクリプト言語のサポート強化、リポジトリ管理や内部統制向けのサポート・ツールの開発にも注力する方針だ。

 同社によると、Genesisに関する詳細なロードマップは、今年12月に中国・上海で開催予定の「BEAWorld 2007 Shanghai」において発表する見通しだという。

(大川 亮/Computerworld)

米国BEA Systems
http://www.bea.com/

提供:Computerworld.jp