Qualcommが明かすPenelopeの真実(PenelopeはEudora 8にあらず)

 昨年秋、QualcommはMozillaの電子メールクライアントThunderbirdの開発陣と協力してEudoraのオープンソース版を開発するとの計画を発表した。オリジナルのEudoraクライアントは一部にプロプライエタリなコードが含まれているため、開発者らはアプリケーションをスクラッチから構築し直す必要があった。今週、Qualcommが開発したThundebird用アドオンであるPenelopeの最初のベータ版リリースが告知された際、多くの人々はこれが実質的に新しいオープンソースのEudoraクライアントのベータ版だと思った。さらに混乱を深めたのは、PenelopeがLinuxに対応していないという点だった。このPenelopeについて、Qualcommのプロジェクト副主任Jeff Beckley氏が事実関係を明らかにしてくれた。

 「Penelopeをめぐる混乱の元凶は、PenelopeとEudoraとの区別が明確になっていない点にあるようです。PenelopeはThunderbirdの拡張機能であり、(オープンソース版の)EudoraはThunderbirdにいくらかの変更を加えた商標化バージョンです。我々が取り組んでいる機能の中には、Penelopeのような拡張機能上にしか実装できないものあれば、Thundebirdのコードのコア部分に対する変更が必要でそれゆえEudora本体に実装しなければならないものもあります。我々によるすべての変更が、コアとなるThunderbirdコードベース内にうまく収まればよいのですが、そうはいかないことがわかっています。また、Mozillaの開発陣は我々の変更内容をThunderbirdに取り入れることに前向きです」(Beckley氏)

 もう1点、Beckley氏が力説するのは、PenelopeとEudoraにおけるソースコードの出所の違いである。「Penelopeの実装には、Eudoraのこれまでのバージョンのソースコードは使われていません。オリジナルのEudoraのソースコードにはサードパーティによるプロプライエタリなコードが一部含まれていて、その部分はオープンソースとして配布できないからです。そのため、Classic版のEudoraから新しいEudora/Penelopeに機能を“移す”のは容易ではありません。変更箇所はすべて実装し直さなければならないのです」

 Beckley氏は、Penelopeチームが克服すべき最大の障害はMozilla/Thunderbirdコードベースに関する知識を短時間で習得しなければならないことにあった、と語る。「コードベースが巨大なため、すべての部分がどのように組み合わさっているかを理解するのにかなりの時間がかかります」。現在、プロジェクトには、開発を進めるQualcommの常勤開発者以外にも、裏方として働く多くのパートタイム開発者がいる。Penelopeの最初のベータ版をリリースするまでに投入された総工数は、約48人月に及んでいる。

 しかし、学習曲線の険しさを別にすれば、Penelopeのような製品を開発できることは非常に刺激に満ちた経験だとBeckley氏は言う。「こうした開発が可能なのは、Mozillaのプラットフォームがそれほど優れた拡張性を備えているからです。またそれゆえに、Eudoraユーザは自分たちにとって快適な電子メールアプリケーションを今後も使い続けられるでしょう」

 ところで、PenelopeがLinuxに対応していないのはなぜだろうか。Beckley氏は、開発チームもそれを望んでいるが、問題はそのための適切な協力が得られていないことだと話す。「実は、PenelopeのプラグインはLinuxでも動作します。ただ、我々はLinuxに関する経験や知識に乏しく、自信を持ってLinux版をリリースできる状況にはありません。Linux対応化のために時間をとって協力してくれる人がいるとありがたいのですね」

Linux.com 原文