Microsoft幹部がiPhone対抗製品の開発を示唆――RIM買収のうわさについてはほぼ完全否定
Microsoftのコーポレート・バイスプレジデントで、エンターテインメント／デバイセズ部門のCFOを務めるミンディ・マウント氏は9月4日、ニューヨークで開催中の「Citi Global Technology Conference」（9月4日～6日）で講演し、将来同社が写真や音楽、タッチスクリーン機能をWindows Mobile製品に統合すると考えるのは「不合理」なことではないと語った。ただ、製品や技術の詳細についてはコメントしなかった。
Windows Mobileに関するMicrosoftの基本的な考え方は、電子メール・アクセスなど、ビジネスの現場で日常的に使用される機能をPCからモバイル・デバイスに移行させるというものだ。
マウント氏は、「ほとんどの人が、1台の携帯電話を個人用と仕事用の両方に使っている。消費者は、画像と音楽を扱えるようにするよう求めており、当社が製品ロードマップにこうした製品を入れたいと思うのも当然のことだ」と語っている。
Microsoftは、年末商戦までにマルチメディア・プレイヤーのZune（AppleのiPodに対抗する製品）に新機能を搭載するとうわさされているが、マウント氏は、この情報に関してもコメントを避けた。しかし、これまでのところ消費者の反応が芳しくないZuneとWindows Mobile機能を組み合わせたハイブリッド製品が将来的に実現する可能性は考えられる。
すでに同社は、ハードウェア分野のパートナーと共同でiPhoneに似たタッチスクリーン機能搭載のWindows Mobile携帯電話機を開発している。最新型のWindows Mobileデバイスの1つであるハイテク・コンピュータ（台湾）のスマートフォン「HTC Touch」もその一例であり、タッチスクリーンを使って電子メールや連絡先情報をスクロールしたり、Webページを閲覧したりできる。
HTC Touchは、英国、欧州、アジア地域で出荷されており、米国でも年内にデビューする見通しだが、iPhoneが他のスマートフォンをリードする原動力になっているマルチメディア機能は搭載されていない。
市場調査会社アイサプリが9月4日に発表した今年7月（iPhone出荷後初めて1カ月分の売上データが得られた月）の販売動向リポートによると、 iPhoneの販売台数は、リサーチ・イン・モーション（RIM）のBlackBerryやPalm Treoといった人気の高いライバル製品を上回ったという。
今回マウント氏は、Microsoftがカナダのモバイル・ハードウェア／ソフトウェア・メーカーであるRIMを買収するのではないかといううわさを否定した。「うわさに対してコメントするつもりはないが、これが本当に意味のある話なのか、逆に皆さんに聞いてみたい」（同氏）
マウント氏によると、RIMの成功は、BlackBerry事業のデバイス・ビジネスに負うところが大きいのに対し、Microsoftは、サードパーティのベンダーを使ってWindows Mobileデバイスを開発することで大きな成功を収めてきたと指摘する。
Microsoftは、昨年Windows Mobileのライセンスを1,100万本販売しており、今会計年度には、2,000万本の販売を見込んでいる。「現在のところ、このロードマップにかなり満足している」とマウント氏は強調した。
このロードマップには、今のところWindows Mobile対応のハードウェアを同社が提供するという計画は入っていないため、同社がWindows MobileをベースにしたiPhone対抗製品をリリースするとしても、サードパーティを通じて出荷するのか、同社が自ら出荷するのかはわからない。
いずれにしても、同社が今年に入ってプレビューを行ったXbox 360やZune、Milan（タッチスクリーン機能を搭載したテーブルトップ・コンピュータ）が何らかの予兆であるとするならば、同社が、従来のソフトに加え、消費者向けハードウェア・デバイスも提供するというアイデアを温めていると考えることは可能であり、同社からiPhoneのライバル製品が投入されるという話も現実味を帯びてくる。
(エリザベス・モンタルバノ／IDG News Service ニューヨーク支局)
米国Microsoft
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提供：Computerworld.jp
