「仮想アプライアンスがアプリ開発を革新する」――VMware幹部が明言――カスタマイズ可能なオープンソースLinuxが最適なOSの選択肢に

 仮想アプライアンス・モデルは、Microsoftなど大手OSベンダーの脅威になる可能性がある。米国VMwareの共同創業者メンデル・ローゼンブラム氏がLinuxWorld Expoでそのように語った。

 ローゼンブラム氏は8月9日、サンフランシスコで開催中の「LinuxWorld Conference & Expo 2007」(8月6~9日)で基調講演を行い、ソフトウェア・アプリケーションとその稼働に必要なOSコードだけをバンドルした仮想アプライアンスは、ホストOSに関係なく、仮想サーバ上で運用できると説明した。同氏はVMwareの仮想化担当チーフ・サイエンティストでもある。

 ローゼンブラム氏は質疑応答の中で、「仮想アプライアンス・モデルはOSベンダー、特にMicrosoftの脅威となるか」という質問に対し、「もしわたしが彼らの立場なら、脅威になると考える」と答えた。

 仮想アプライアンスは、ソフトウェア・アプライアンスと同様の概念に基づくもので、仮想サーバ上で動作するように設計されている。

 VMwareなどが提供する仮想化ハイパーバイザは、サーバ・ハードウェアと、OSおよび他のソフトウェア・スタックを分離する。ハイパーバイザは1台の物理サーバ上に複数の論理サーバを立ち上げ、それらの上で複数のアプリケーションを動作させることができる。これによってサーバの使用効率を飛躍的に向上する。

 ローゼンブラム氏は、仮想アプライアンスを利用することは、肥大化、複雑化する一方のOSにアプリケーションを適合させるという従来のソフトウェア開発モデルに代わる選択肢であり、仮想アプライアンスは、OSからアプリケーションの実行に不要な部分を除外したり、カスタムOSを開発したりすることで、ソフトウェアの開発プロセスを簡素化すると考えている。

 「仮想アプライアンスがOSの脅威となるとわたしが予測するのは、OSが複雑化するという問題を回避するために利用できると考えるからだ」(ローゼンブラム氏)

 また同氏は、オープンソースのLinuxは、ユーザーにとって、仮想アプライアンス用のOSとして選択しやすいとも述べた。ライセンス・モデルがこうした使い方に非常に適しているからだ。ソフトウェア開発者は、ソフトウェアとLinuxの一部を簡単にバンドルできるが、Microsoftのような商用OSベンダーは、そうしたOSの使い方を嫌うだろう。

 「VMwareはLinuxコミュニティに親しみを感じている」とローゼンブラム氏は述べた。だが、聴衆の1人は講演後に、この発言には「根拠がない」と非難した。

 仮想化ソフトウェアの小規模ベンダーであるVirtual Ironの最高マーケティング責任者、マイク・グランディネッティ氏は、VMwareの仮想化ソフトウェアの90%は、LinuxマシンではなくWindowsマシンで運用されていると指摘する。

 グランディネッティ氏は、Linuxをたたえるローゼンブラム氏の発言を、「ご都合主義的なもの」と切り捨てた。

 グランディネッティ氏は、Virtual Ironのソフトウェア製品は多くの部分に、オープンソース仮想化ソフトウェアであるXenの技術を採用しており、そのために、VMware製品よりもきわめて安価だと強調する。Xenベースの仮想化製品を提供している有力ベンダーのもう1社としてXenSourceがある。

 VMwareは仮想化ソフトウェア業界の最大手だが、仮想化市場はまだ開拓の余地がある。仮想化技術を使用しているサーバの割合は全体の2~3%程度にすぎず、主要な業界アナリストが予測した5~7%を下回っていると、グランディネッティ氏は語った。

 「まだ勝負は始まったばかりだ」(同氏)

(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)

米国VMware
http://www.vmware.com/

提供:Computerworld.jp