Intel、モバイルWiMaxの本格サービス開始を見据えて攻勢――2008年に向けWiMaxの一大キャンペーンを展開へ

 米国Intelは2008年、対応ネットワークおよびハードウェアの登場に合わせて、モバイルWiMaxに関する大々的な宣伝キャンペーンを展開する予定だ。これにより、WiMax人気が再び盛り上がることを期待している。

 Intelによると、モバイル・ブロードバンド標準WiMax用の大規模なネットワークは、昨年の段階ですでに配備を完了しており、対応するハードウェアがリリースされれば、WiMaxはWi-Fiや3Gといった無線技術に対し、初めて補完的(あるいは攻勢的)な立場に立てるようになるという。

 WiMax標準はすでに数年前に策定されているが、現時点で実用化されているのは、「IEEE 802.16e」に基づくモバイルWiMax規格だけだ。モバイルWiMaxが理論上実現できるスペックは、スループットが最高70Mbps(メガビット毎秒)、伝送距離が最大37マイルであり、企業や個人ユーザーは、サービス・エリア内であれば、あらゆるWiMax搭載デバイスを使ってどこからでも品質の高いブロードバンド・ネットワークにアクセスできる。

 通信事業者らによれば、実効速度は平均で2Mbpsから4Mbpsの間になるという。

 米国の2大キャリア、スプリント・ネクステルとクリアワイアは7月31日、30億ドルを投じて同国初の全国的なモバイルWiMaxネットワークをともに構築していくことを発表した。

 両社は、有線および無線インターネット接続がもはや飽和状態に達している西欧諸国などの市場でもWiMaxの普及が加速するきっかけになると見ている。新たなネットワークは、2008年半ばまでにサービスの提供が始まる見通しだ。

 英国では、Nortelが7月30日、固定WiMaxサービスを開始しているアーバン・ワイマックスや、事業者のネットワーク機器が設置されているサイトを管理するマクロポリタンと協力し、モバイルWiMaxのテストを開始すると発表した。

 IntelのWiMaxプログラム・オフィスで副社長兼ゼネラル・マネジャーを務めるスリラム・ビスワナサン氏は、スプリントとクリアワイアによるネットワークの構築や、自社のWiMax対応モバイル・プロセッサのリリースを好機ととらえ、モバイルWiMaxの大型キャンペーンを実施することを明らかにした。

 Intelは2008年後半に、Wi-FiとWiMaxの両方をサポートするノートブック用プロセッサ「Montevina(開発コード名)」のリリースを予定している。ビスワナサン氏は、4~6カ月以内にはPCメーカーがMontevinaベースの製品を発表すると見ている。

 アーバン・ワイマックスのCEOであるサーシャ・ウィリアムソン氏によれば、Nortel、アーバン・ワイマックス、マクロポリタンは7月27日、モバイルWiMax信号を使用するPCカードを搭載したノートPCを使って、英国、カナダ、米国間でビデオ会議を開催したという。

 ウィリアムソン氏は、英国でのトライアルは今後も継続し、価格設定をはじめ、同技術の全般的なエクスペリエンスの問題に関し、エンドユーザーからのフィードバックを収集していくつもりだと述べた。

 一部の識者は、特に西欧ではWi-Fiおよび3Gが広く浸透していることから、モバイルWiMaxの出番は限られるのではないかと指摘している。

 これに対し、Intelは、WiMaxはより局所的に使用されるWi-Fiと同じように、家庭やオフィスのインターネット・アクセスとモバイル・インターネット・アクセスを1つの技術にまとめたものであり、インターネット・アプリケーションを使用するユーザーにとっては、3G以上に魅力的な選択肢となると強調する。

 ウェスト・テクノロジー・リサーチ・ソリューションズ(WTRS)が今週発表した調査報告書によると、モバイルWiMaxは新しいタイプのエンドユーザー向けサービスを生み出しつつあり、西欧諸国の市場が拡大しているという。

 WTRSの上級アナリストを務めるクリステン・ウェスト氏は、「WiMaxの優れた移動性と広帯域を活用したエンドユーザー向けサービスの成長が、WiMax市場の発展と拡大を牽引している」と述べている。

 今日では、WiMaxをバックホール回線として利用したり、競争力のある有線および無線インフラストラクチャが整備されていない発展途上国で活用したりする動きが活発化しつつある。

(マシュー・ブールスマ/Techworld オンライン英国版)

米国Intel
http://www.intel.com/

提供:Computerworld.jp