IBM、System iシリーズのOS新版と対応ハードウェアを発表――Webサービスや仮想化機能をサポートし、セキュリティを強化

 米国IBMは7月24日、ミッドレンジ・サーバのSystem iシリーズに対応するOSの新メジャー・リリース「i5/OS V6R1」および同OSを搭載できるPOWER6ベースのSystem iサーバを発表した。

 2008年に登場すると見られるi5/OS V6R1では、新たなセキュリティ機能やWebサービス、仮想化機能などがサポートされることになっている。同OSに搭載される新機能の概要は以下のとおりだ。

  • ハードディスクに保存されているデータを暗号化し、テープにバックアップすることで重要な情報を保護する暗号化機能のサポート
  • 特定のi5/OSパーティションで別のi5/OSパーティションに対応するストレージをホスティングできるようにする仮想化機能のサポート。これにより、個々のパーティションで専用のハードウェアを維持する必要がなくなり、新しいi5/OSアプリケーションのテストや導入作業が柔軟かつ容易に行えるようになる。
  • 各種Webサービスや統合Webアプリケーション・サーバの導入と統合を容易にし、最低限のシステム・リソースと管理でJavaアプリケーションを導入できるようにするためのユーティリティのサポート

 またi5/OS V6R1は、IBM System Directorを使って、IBMのOSやUNIX、Windowsなどが稼働するiシリーズのシステムを管理することができる。

 i5/OS V6R1では、新たな料金体系が導入される予定で、使った分だけ料金を支払う体系を選択できるという。このアプローチでは、i5/OSの初期プロセッサ・ライセンスに加え、3種類の基本構成が提供される。

 他のコンポーネント(追加プロセッサ・ライセンスやLinux、AIX、5250オンライン・トランザクション処理など)は、個々のクライアントの必要に応じてプロセッサごとに追加できるという。

新サーバ・ハードウェア

 IBMは、先ごろ発表されたPOWER6チップを搭載する「System i 570」も披露した。POWER5ベースのシステムに比べ、アプリケーションのパフォーマンスが2倍になるとされており、中規模および大規模企業での業務効率の向上に貢献できるとしている。

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POWER6チップを搭載する「System i 570」

 また新しいシステムでは、トランザクションやコラボレーション、 Webなどをサポートする複数のアプリケーションを、最大160の仮想サーバ・パーティション(シングル・システム上でコンピューティングとオペレーションのリソースを共有する)で同時に稼働させることができ、サーバ統合を行って、フロア・スペースや消費電力、冷却装置などを節約することが可能になる。

 さらにi570は、要求条件の変化に対応して、利用可能な待機電力を増やしたり、システムの能力を拡張したりすることもできるという。

 今回IBMは、i5/OSの現行バージョンに対応するオープンソース・データベースのMySQLを出荷したことも明らかにした。2006年にZendが出荷したi5/OS対応PHPに続く製品となる。

 IBMは、i5/OSで稼働する数千種類ものオープンソース・アプリケーションや開発ツールがそろっていることをアピールしており、その一例として、SugarCRMによるi5/OS対応オープンソースCRMソフトウェアの出荷予定を明らかにした。

 また、IBMとMySQLが、i5/OS対応DB2をSystem iの正式なMySQLストレージ・エンジンとして提供し、既存のi5/OSデータとの統合性を強化する計画もあるという。

価格と出荷時期

 POWER6プロセッサとi5/OS V5R4を搭載するSystem i 570は、今年9月に出荷される予定で、価格は16万5,000ドルからとなっている。i5/OS V6R1は、2008年に出荷される見通しだ。

(マネク・ドゥーバーシュ/Techworld オンライン英国版)

米国IBM
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提供:Computerworld.jp