IBMとCisco、共同開発の管理ソフトウェアを来月リリース──IBMのシステム監視機能とCiscoのデバイス管理機能を統合
IBM Tivoli Software部門のCTO(最高技術責任者)、アラン・ガネク氏によると、新製品は、Ciscoのデバイス管理/仲介技術「Active Network Abstraction(ANA)」とIBMの管理ソフトウェア「Tivoli Netcool/OMNIbus」「同Netcool/Precision」を統合したもの。両社は1年ほど前から同製品の開発に取り組んできたという。
ガネク氏は、新製品が通信キャリアだけでなく、異機種混在ネットワークをより簡単に管理できる手段を求めている金融機関などの大企業ユーザーにも訴求できると期待している。
同氏は、共同開発製品の提供で大きな売上げを見込めると強調したものの、具体的な数字は示さなかった。IBMとCiscoは、提携の拡大にかかわる詳細は明らかにしていない。
「IBMとCiscoのパートナーシップは、これまでサービス分野にかかわるものが主流だったが、新製品の共同開発を通じて、ソフトウェア分野で開発チームの連携が深まった」(ガネク氏)
IBMとCiscoは、1999年に広範な戦略提携を結んでいるが、この数カ月の間に、統合通信でのパートナーシップの拡大や、サポートの共同提供など、さまざまな分野で協業関係を強化している。
Cisco Assurance Management Solutionの最初のバージョンでは、ネットワーク障害監視、障害隔離、リアルタイム・サービス・レベル・イベント管理などの機能が提供されることになっている。
ガネク氏は、将来のバージョンについて、IBM Tivoliのシステム/ネットワーク管理技術の統合をさらに進めるとしたうえで、次期バージョンでは「Tivoli Change and Configuration Management Database」や「Tivoli Monitoring」が採用されるのが自然だとし、これら機能をサポートすることを示唆した。
同氏によると、Cisco Assurance Management Solutionの次期バージョンには、IBMがネットワーク・パフォーマンス監視ソフトウェア・ベンダーのバレントの買収で取得した技術が搭載される可能性もあるという。
IBMは今年2月にバレントの買収を完了し、同社が提供していたソフトウェアをTivoli部門に移管した。なお、Tivoli部門が提供している Netcoolソフトウェアも、IBMが昨年2月に買収したネットワーク管理ソフトウェア・ベンダーのマイクロミューズから取得したものだ。こうしたことから、IBMとCiscoは今回の新製品以外にも共同開発ソフトウェアをリリースする可能性がある。
その一方で、ガネク氏は、IBMとCiscoの関係は非排他的なものであり、IBMはCisco以外のネットワーク機器ベンダーの多くと協業を進めているとも強調している。
CiscoのANAは、すでに「Tivoli Netcool/Impact」「Tivoli Business Service Manager」などTivoliファミリ・ソフトウェアとの相互運用可能となっている。CiscoはすでにIBMのTivoli Netcoolを「Cisco Info Center」のブランドで提供しており、Ciscoの500社以上の顧客サイトで利用されているという。
(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)
提供:Computerworld.jp