日本HP、歴史的なソフトウェア事業再編を発表--「HP Software」ブランドでビジネス技術の最適化を支援

 日本ヒューレット・パッカード(HP)は2月20日、同社の運用管理ソフトウェア「OpenView」と、2月1日に組織統合を果たしたマーキュリー・インタラクティブ・ジャパンのITガバナンス/開発管理ソフトウェア「Mercury」を統合・再編し、新ブランド「HP Software」として製品の販売とサポートを開始すると発表した。

 これは、米国HPが昨年11月に米国マーキュリー・インタラクティブを買収(買収額は45億ドル)したのを受けて行われたもの。新ブランドの提供開始により、長年にわたって企業ユーザーに親しまれてきたOpenViewとMercuryの両ブランドは歴史的な役割を終えることになる。

 同社は新ブランドの下、ITによるビジネス価値の最大化と運用管理の効率化を同時に実現する「BTO(ビジネス・テクノロジの最適化)」を統合ITマネジメント戦略の柱として掲げ、企業ユーザーが、ITの戦略立案から、開発、構築、運用、廃棄までのライフサイクル管理を横断的に実現できるよう支援していく方針だ。

 ソフトウェア事業の再編について、日本HPの代表取締役社長執行役員、小田晋吾氏は、「HP Softwareを企業向けビジネスの成長エンジンに位置づけるとともに、競合に対するキラー・ソリューションとして、市場成長率の3倍を目標に掲げ、ビジネスの展開を図っていきたい」と抱負を述べた。

 同社が掲げるBTOビジョンは、全社的な観点からITプロジェクト管理やSOA統制を行う「IT戦略」と、ソフトウェアやシステム品質保証と性能検証を行う「IT開発」、各システムの運用とITIL(IT Infrastructure Library)プロセスに基づく統合的な運用を行う「IT運用」という3つの領域を横断的に連携させる統合ITマネジメント環境の提供によって実現される。

 ちなみに、IT戦略とIT開発はこれまでMercury製品がカバーしていた領域で、IT運用はOpenView製品がカバーしていた領域だ。

 日本HPでは、これらの3つの領域を横断的なライフサイクルとして管理できる環境を提供することにより、各領域で保持するデータやIT資産、構成情報、ビジネス・プロセスを共有しながら、導入する資産情報の重複回避や管理の簡素化、統一された規準による開発時の品質、運用時の適切なサービス・レベルによるサービスの提供が可能になるとしている。

 今回の発表について、同社のソフトウェア統括本部ソフトウェアマーケティング部長、河口雄一朗氏は、「当社にとって過去最大の戦略発表だ。企業コンピューティングの現状を見ると、企業の多くでは、ITの成功が必ずしもビジネスの成功につながっていない。われわれは、HP Softwareの提供により、企業のビジネス価値を最大化することに貢献していきたい」と力説した。

 HP Softwareでは、ビジネス課題に合わせたライフサイクルの製品連携パターンとして、開発・検証・運用の各フェーズで性能を管理し、性能問題の原因分析を可能にする「パフォーマンス/可用性ライフサイクル」、ソフトウェアへの変更要求を発生から運用環境まで管理することで変更を迅速に行うことを可能にする「変更/構成 ライフサイクル」、ITサービスがビジネス指標に則しているかどうかを監視し、ITの適正な配置・配分を可能にする「ITサービスライフサイクル」が提供される。

 同社では、HP Softwareブランドの下、従来のOpenViewおよびMercury製品群を以下の9つの分野に再構成し、HP Software Centerとして提供していく。具体的は構成内容は以下のとおりだ。

●IT戦略
デマンド/ポートフォリオ管理
「HP Project and Portfolio Management Center」(国内未発売)
SOAトランスフォーメーション
「HP SOA Center」(国内未発売)

●IT開発
品質保証
「HP Performance Center」
パフォーマンス検証
「HP Quality Center」

●IT運用
ビジネスサービス管理
「HP Business Availability Center」
ITIL/ITサービス管理(ITILプロセス支援、資産管理)
「HP Service Management Center」
ITIL/ITサービス管理(変更・構成管理)
「HP Change and Configuration Center」(国内未発売)
統合オペレーション(システム・アプリケーション管理)
「HP Operations Center」
統合オペレーション(ネットワーク管理)
「HP Network Management Center」

(益田 昇/IDGオンライン編集部)

日本ビューレット・パッカード http://www.hp.com/jp/

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