大手通信ベンダー、企業向け無線LAN製品を続々発表――それぞれの“売り”とは IEEE 802.11nの正式承認をにらみ、多機能をアピール

 ラスベガスで開催中の「Interop Las Vegas 2007」(5月20~25日)では、米国Cisco Systems、カナダのNortel Networks、米国Meru Networksなど、大手通信ベンダーが企業向けの高速無線LAN製品を続々と発表している。

 米国Gartnerのアナリスト、ケン・デュラニー氏は、今後の企業向け無線LAN市場動向について、「100Mbps以上でのスループットが実現できる、次世代高速無線LAN規格『IEEE 802.11n』の正式承認が完了した段階で、企業は現在自社で導入している無線LAN環境を大幅に見直すだろう」と指摘する。

 IEEE 802.11nの正式承認は、2009年以降になる見通しである。しかし、すでに各通信ベンダーは既存の製品ラインをIEEE 802.11nのドラフト仕様に対応させ、スループット100Mbpsのメリットを最大限に生かす新機能の開発に注力しているようだ。

 今回のInteropで多くの新製品/戦略を発表したのはCiscoである。

 同社は無線LANソリューション「Unified Wireless Network Software」を大幅にアップグレードし、音声通話機能を追加したと発表した。また、企業内で最大2万個のアクセス・ポイントを管理できるシングル・インタフェースを提供する、管理アプリケーション「Wireless Control System Navigator」なども発表している。

 さらに同社は、アクティブRFIDベンダーの米国ホエアネットと提携したことも明らかにし、センサー・タグ市場に参入する意向を表明している。

 Nortelは、ユニファイド・コミュニケーション・システム上で利用する「Location Engine」ソフトウェアを発表した。これは、無線LAN上にある数千台のデバイスを追跡し、ユニファイド・コミュニケーション・システムのユーザー情報に位置情報を追加するソフトウェアである。なお、価格は明らかにされていない。

 またNortelは、企業向け新戦略の一環として、複数のアクセス・ポイントを接続する無線LANスイッチ「Wireless LAN Security Switch 2382」も発表している。こちらの価格は公表されており、32アクセス・ポイントのライセンスが9,995ドルからだという(アクセス・ポイントは 128台までライセンス購入が可能)。

 一方、Meruは、5~15フィート(1.5~4.5メートル)の範囲内にあるデバイスをリアルタイムで追跡できる「E(z)RF High-Fidelity Location Manager」ソフトウェアを発表した。

 同ソフトウェアには、特定のエリアに「仮想シールド」を設定し、ネットワークへのアクセス許可をコントロールできる機能が搭載されている。Meruによると、仮想シールドを利用すれば、例えば試験中の教室に設置されたデバイスからの無線LANへのアクセスだけを遮断するといった使い方が可能だという。同ソフトウェアの発売時期は今年6月を予定しており、価格は1万3,995ドルになる見込みだ。

 米国IDCのアナリスト、スティーブン・ドレイク氏は、現在企業は積極的に無線LANなどのモバイル技術を導入していると指摘する。

 「IDCが企業を対象に行ったモバイルに関する最近の調査では、調査対象企業の約70%がモバイル・アプリケーションを導入しているか、導入前のテストを実施していることが明らかになった。企業はモバイル技術を導入することで、企業にも従業員にも利益となることを理解している」(ドレイク氏)

(スティーブン・ローソン/IDG News Service サンフランシスコ支局)

Cisco Systems(米国)
http://www.nortel.com/
Nortel Networks(カナダ)
http://www.nortel.com/
Meru Networks(米国)
http://www.merunetworks.com/

提供:Computerworld.jp