Mugshot:オープンソース形式のソーシャルネットワーキングサービス
まず何といってもMugshotは、Flickr、Google Reader、Blogger、Digg、del.icio.us、Picasa、YouTubeなどソーシャルネットワーキングの名立たるサービスを1つにまとめる窓口的な役割を果たしている。Mugshotのアカウントページで利用したいサービスのアカウント情報を入力するだけで、自分のMugshotページに各種Webサービスを簡単に追加できる。すると、このMugshotのユーザページは、設定されたサービス群を監視する一種のアグリゲータとして機能し、サービスがアップデートされると通知を行ってくれる。例えば、自分のブログのURLを指定しておくと、最近のブログ投稿が自動的にMugshotページに追加される。また、Flickrのアカウントを設定して有効にしておくと、Flickrにアップした写真がMugshotページに追加され、新しい写真をFlickrに載せるたびに通知してくれる。Diggやdel.icio.usのサービスを有効にした場合は、参照した記事や最近のブックマークがMugshotページに表示されることになる。
Mugshotページを設定して立ち上げるとすぐに、Webでの自らの活動が時間的な遅れなしにそこに反映され、自分も含めてそのページを訪れる人から閲覧できるようになる。つまり、あなたの知り合いは、新しい情報を確認するために、あなたの利用しているすべてのWebサービスをわざわざ1つ1つ見て回らなくてもよくなる。アップされたすべての情報は、あなたのMugshotページに掲載されるからだ。実際には、知り合いにあなたのMugshotページにアクセスしてもらう必要さえない。Mini Mugshotを使えば簡単にMugshotバッジなるものが作成できるので、これを自分のブログやWebサイトに埋め込んでおけばいいのだ。また、Mugshot Google Widgetというものもあり、これを使えばGoogleページやGoogleデスクトップのサイドバーとの連携が可能になる。
Webでの活動を1つにまとめるというのは、Mugshotの一機能に過ぎない(また、おそらく最も重要な機能でもないだろう)。Mugshotサービスを格別に便利なものにしているのは、ネットワーキングとシェアリングの機能だ。Mugshotを初めて利用する人は、招待状を送信することで友人をMugshotに招待できる。招待を受けたユーザは、Mugshotサービスに参加した時点で自動的に招待者のネットワークに参加することになる (「View My Network」のリンクをクリックすると、自分のネットワークにいるすべてのユーザを確認できる)。
ネット仲間を増やすもう1つの方法が、グループを作成して他のユーザの参加を許可することだ。特定の話題 ― オープンソースソフトウェア、園芸、中世の歴史など ― に関する情報を共有したい場合は、この方法が役立つだろう。グループには関連するRSSフィードを追加できるので、Mugshotページを実質的にRSSリーダにすることも可能だ。例えば、「オープンソースソフトウェア」グループならLinux.com、Slashdot、Distrowatch、その他オープンソース関連のブログを含めることができる。グループはいくつでも作成でき、それぞれに公開(誰でも参加可能)か招待(参照は誰でも可能だが参加には招待状が必要)かの形式を指定できる。
コメントの書き込み(Mugshotの用語ではquipという)やMugshotページに表示されるあらゆる項目への投票は ― それがブログ投稿、最近の写真、またはRSS記事であっても ― Mugshotユーザだけでなく他の閲覧者も行える。こうした機能により、Mugshotのページは、人々が特定のテーマに対する考え方を共有したり公開された情報について意見を交換したりする場になっている。
また、Web Swarmという気の利いた機能もある。これを使えば、自分の所属するネットワークまたはグループにいる他のユーザとWebページを共有できる。この機能を利用するにはMugshot用のFirefox拡張機能が必要であり、そのインストールを行うとFirefoxツールバーにWeb Swarmアイコンが追加される。現在閲覧中のWebページを共有するには、このWeb Swarmアイコンをクリックし、共有するユーザやグループを選択して説明を入力したうえで「Add」ボタンをクリックする。所属するネットワークにいる他のユーザとの共有を行うと、共有対象のWebサイトが自分のMugshotページだけでなく、彼らのMugshotページにも表示される。こうしてMugshotユーザは、他の公開情報と同様に、共有されたWebページについてもコメントや意見を記入することができる。
Web Swarmの拡張機能はオプションのデスクトップパッケージの一部だが、このパッケージにはMugshot Stackerというユーティリティも含まれている。このユーティリティは、Mugshotの縮小デスクトップ版として機能する。Mugshot Stackerは、起動されると通知エリアに常駐し、Mugshotページに新しい項目が追加されるたびに通知を行ってくれる。特定の項目に対するコメントをMugshot Stackerから直接書き込むことも可能だ。MugshotのWikiには、Windows用の他、Fedora、Ubuntu、Mandriva、openSUSEなど数々のLinuxディストリビューション用のコンパイル済みバイナリパッケージが用意されている。
Mugshotはエンドユーザを意識して作られているが、さまざまなサービスやアプローチをソーシャルネットワーキングに対して試みる開発者の試験的取り組みでもある。例えば、直近に追加されたサービスとしてOpen Source Applications Statisticsがある。このサービスを起動すると、利用しているアプリケーションの追跡とサーバへの利用アプリケーションリストの定期的なアップロードが、Mugshotによって行われる。その結果、使用頻度の高いオープンソースソフトウェアのアプリケーションの一覧がMugshotのWebサイトから確認できるようになる。このサービスはデフォルトでは無効になっているが、プライバシーが気になるなら、有効にする前にサービス内容の説明を十分に確認すること。
Mugshotはあらゆる意味でオープンなプロジェクトであり、誰でも自由にプロジェクトに貢献できる。プロジェクトへの参加に興味がある人、またはMugshotの仕組みをもっと詳しく知りたい人は、MugshotのWikiを参照するとよい。このWikiには最新のダウンロードファイルだけでなく、サーバおよびクライアントの各アーキテクチャの詳細な構成図も掲載されている。
Dmitri Popovは、フリーランスのライターで、ロシア、英国、ドイツ、デンマークのコンピュータ雑誌に寄稿している。