XenSource、サーバ仮想化ソフトの新版をリリース――Windows 2000対応で“年代物アプリ”も利用できるとアピール

 米国XenSourceは4月2日、企業向け仮想化ソフトウェアの新版「Xen Enterprise 3.2」をリリースした。Xen Enterprise 3.2は、前バージョンが対応していたWindows Server 2003およびWindows XPに加え、Windows 2000 Serverにも対応するのが大きな特徴だ。

 XenSourceのマーケティング担当バイスプレジデント、ジョン・バーラ氏は、「Xen」がWindows 2000 Serverに対応したことで、同サーバをメインOSとして使用しているデータセンターでも、今後はXenが選択肢になると期待を寄せている。

 XenSourceは、オープンソースの仮想化プロジェクトであるXenのハイパーバイザの開発を管理するとともに、Xenの加入サービスとサポート・サービスを販売している企業だ。なお、ハイパーバイザとは、1台のコンピュータ上で複数のOSを稼働させるための仮想化アーキテクチャを指す。

 Xen Enterprise 3.2は、SMP(対称型マルチプロセッシング)をサポートしている。バーラ氏はSMPを利用すれば、複数のプロセッサやマシン上で、1つのアプリケーションを同時に稼働させることができると説明する。

 「前バージョンまではSMPが使えなかったため、Microsoftのメール・サーバ『Exchange Server』やデータベース・サーバ『SQL Server』を稼働させている大規模なシステム環境を持つ企業では、Xenの導入に二の足を踏んでいたと聞く。Xen Enterprise 3.2は、そんなシステムを管理しているITマネジャーにぜひ利用してほしい」(バーラ氏)

 また同氏は、「Xen Enterprise 3.2を利用すれば、Windows 2000 Server上で稼働している“年代物”のアプリケーションを引き続き稼働させることが可能だ。さらに、複数のサーバOS上で稼働しているアプリケーションを圧縮し、少数の物理サーバに集約させることもできる」と、そのメリットを強調した。

 Xen Enterprise 3.2のもう1つの特徴は、iSCSIに対応していることである。

 iSCSI とは、データ通信に利用するSCSIコマンドをTCP/IPネットワーク上で受送信するためのプロトコルであり、接続には光ファイバやギガビットEthernetが利用される。ファイバ・チャネルよりも低コストで導入が可能で、近年では多くの企業で採用が進んでいる。

 XenSourceでは、Xen Enterprise 3.2がiSCSIに対応したことで、前バージョンよりも企業が導入しやすくなっているとしている。

 しかし、サーバ仮想化ソフト市場では、多くの競合他社がしのぎを削っている。

 同市場では現在、VMwareの快進撃が続いている。同社の2006年における売上高は、前年度比83%増の7億900万ドルだった。

 調査会社の米国Forrester Researchが今年2月に発表したサーバ仮想化技術に関する調査リポートによると、調査対象企業1,770社のうち半数以上(53%)は、Intel製プロセッサを搭載したサーバの仮想化にあたり、VMwareの製品を検討したと答えている。残りはHP(HP)で約11%、Microsoftが9%、IBMとDellがそれぞれ9%と8%だった。

 また、米国Virtual Iron Softwareは、3月5日にサーバ仮想化ソフトの新版「Virtual Iron 3.5」をリリースしている。Virtual Iron 3.5は、Xen Enterprise 3.2と同様にiSCSIをサポートしており、両ソフトがライバル関係にあることは明白だ。ちなみに、Virtual Iron 3.5はXenがベースとなっている。

(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)

米国XenSource
http://www.xensource.com/

提供:Computerworld.jp /p