Oracle、製品情報を不正入手したとしてSAPを提訴――企業ぐるみの違法行為と激しく非難

 米国Oracleは3月22日、ビジネス・アプリケーション分野で競合するドイツSAPがOracleのコンピュータに不正アクセスし、製品情報を盗んだとして、 SAPとその関連企業をカリフォルニア北部地区連邦地裁に提訴した。Oracleは「この訴訟は企業ぐるみの大規模な窃盗に関するものだ」としており、SAPによる組織的な犯罪が行われたと主張している。

 Oracleが提訴したのは、SAPと同社の従業員50名(氏名不詳)のほか、同社の米国法人SAPアメリカ、SAPの子会社であるTomorrowNowの3社。

 Oracleは訴状の中で、SAPとその関連企業が、著作権で保護されたOracleのプロプライエタリ・ソフトウェア製品と機密プログラムを不正な手段で大量に盗んだと主張。SAPとその関連企業を、コンピュータ不正使用法違反、不正競争防止法違反、故意および過失による経済的利益の侵害、共同謀議で提訴した。

 Oracleでは、不正行為によって被った損害の賠償、不正行為を禁止する裁判所の発令、同裁判の弁護士費用の補償を要求している。さらにOracleは、同裁判を陪審裁判とするよう要請している。

 なお、ここでの不正行為とは、Oracleのコンピュータ・システムへの不法侵入と情報の窃盗、違法に入手した情報をOracleとの競争に利用することを指す。

 Oracleの訴状によると、昨年11月と12月にOracleの顧客向けサポートWebサイト「Customer Connection」から、同社のアプリケーション「PeopleSoft」と「JD Edwards」に関連する情報が1万回以上不正にダウンロードされたという。Oracleでは、これがSAPの従業員によるものだと主張している。

 Customer Connectionは、Oracleと有料サポート契約を結んでいる顧客を対象としたサポートWebサイトであり、Oracleが著作権を持つソフトウェア更新プログラム、バグ修正プログラム、パッチなどを提供している。

 Oracleによると、不正ダウンロードはSAPアメリカの支社とTomorrowNowの本社があるテキサス州ブライアン市のIPアドレスから行われ、このIPアドレスがSAPのコンピュータ・ネットワーク下にあるコンピュータのものだとしている。OracleがこのIPアドレスを遮断したところ、SAPと関連する別のIPアドレスを使って、不正アクセスと不正ダウンロードが継続されたという。

 なお、SAPの広報担当者はOracleの提訴について、弁護士が訴状を検討中であるとしてコメントを控えている。

(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)

米国Oracle
http://www.oracle.com/

ドイツSAP
http://www.sap.com/

提供:Computerworld.jp