英Alfresco、オープンソースのWebコンテンツ管理ソフトをリリースへ

 英Alfresco Softwareは、オープンソースのエンタープライズ・コンテンツ管理(ECM)ソフトウェア・スイート「Alfresco」に含まれる新しいWebコンテンツ管理(WCM:Web Content Management)ソフトウェア「Alfresco WCM」の開発を進めており、そのプレビュー版をまもなく公開する計画だ。

 同社のCMO(最高マーケティング責任者)、イアン・ハウウェル氏によると、同社はAlfresco WCMのプレビュー版を来週初めに公開し、年末までに初版の完成版をリリースする予定だという。

 Alfrescoは昨年の設立以来、コラボレーティブな文書、記録、イメージの管理や、電子メールの保管をサポートするECMソフトウェアの開発を手がけてきた。ハウウェル氏によると、WCMソフトウェアの開発は約1年前から着手していたが、今年5月に元Interwovenの開発者を複数雇用してから開発ペースが加速したという。なお、WCM市場ではInterwovenとVignetteが現在トップに立っており、Alfrescoは両社と将来競争する可能性が高いと見られている。

 Alfresco WCMは、Alfrescoの他のECM構成ソフトウェアと同じリポジトリを使用する。同製品は「JavaServer Faces(JSF)」、「Spring」、「Hibernate」を含むオープンソースのコンポーネントをベースとしており、ユーザーが自社のWebサイトに変更を加えた際、実際にどのように見えるかをプレビューできる仮想化サーバ、および、Webサイトに対するすべての変更を検査するコンプライアンス・サーバが含まれる。

 英Virgin Groupの金融サービス事業を担うVirgin Moneyでは、Alfresco WCMの早期テストが行われている。Virgin Moneyのテクニカル・プログラム・マネジャー、デビッド・スカリスブリック氏によると、同社はほどんど静的であった従来のWebサイトを、個々の顧客に対応するものにリニューアルする計画だという。

 スカリスブリック氏は、「当社はこれまでにいくつかのオープンソースのソフトウェア製品や開発フレームワークを導入した経験があるため、ECMについても可能であればオープンソースに移行したいと考えていた。Alfrescoはオープンソースのアーキテクチャおよび標準のメリットを提供するだけでなく、好ましいサポート・モデルも用意している。Alfresco WCMは、低コストで強力なエンタープライズ・レベルのソリューションになっている」と語り、事前にWCMツールをリストアップしたところ、Virgin Moneyの条件を満たしていたのはAlfrescoの製品だけだった、と付け加えた。

 Virgin Moneyは、Alfrescoのその他のソフトウェアを使用したことはないが、Alfresco WCMの導入を完了した後、同社のECMスイートに含まれる他のソフトウェアの導入についても検討する可能性がある、と同氏は述べた。

 金融サービス会社であるVirgin Moneyにとって、コンプライアンス対応は非常に重要である。スカリスブリック氏によると、Alfresco WCMは、Webデザイナーやアプリケーション開発者がバージョン・コントロールされた環境で共同作業を行えるよう支援するという。また、Virgin Moneyのコンプライアンス・チームが、同ソフトウェアを使ってWebサイトをチェックし、そのサイトの以前のバージョンをすべて確認して、必要があれば特定の日のバージョンに戻すこともできるという。

 ハウウェル氏によると、Alfrescoの既存ユーザーのほとんどは金融サービス会社、出版社、政府機関であり、現在60件の有料サポート契約を企業・組織と結んでいるという。ECM製品市場における同社の競争相手には、MicrosoftやIBM、FileNet、EMCなどがある。なお、IBMは今年8月にFileNetを買収すると発表した。また、EMCは2003年にLegato SystemsとDocumentumを、2005年にSmartsを買収した。

(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)

英Alfresco Software
http://www.alfresco.com/

提供:Computerworld.jp