Berkeley DBが、MySQLで選択可能なストレージ・エンジンから除外される

 スウェーデンのMySQL ABが、同社のオープンソースRDBMS「MySQL」における「Berkeley DB」のサポートを取りやめたことが話題になっている。Berkeley DBは、組み込み向けのオープンソース・データベースで、8月末にMySQLのWebサイトに掲示された情報によれば、「MySQL 5.1.12」以降では、Berkeley DBをMySQLのストレージ・エンジンの1つとして選択することができないという。

 MySQLは、データを最もニーズに適した形式で格納可能なように、ストレージ・エンジンをユーザーが選べるようにしている数少ないデータベースの1つである。MySQLユーザーの間では、デフォルトの「MYISAM」エンジンと、「InnoDB」エンジンが最も広く使用されているようだ。なお、ユーザーによると、Berkeley DBエンジンは、MySQLではあまり利用されていないエンジンの1つだという。

 Berkeley DBの開発元である米Sleepycat Softwareは、今年2月に米Oracleに買収されている。Oracleは2005年末にも、InnoDBの開発元であるフィンランドのInnobaseを買収しており、買収の規模は小さいものの、これらの動きは、近年急成長しているMySQLに対し、データベース市場での優位性をアピールすることを狙ったものではないかとの憶測を生んだ。また、一方のMySQL ABは、4月の年次ユーザー・コンファレンスで独自のストレージ・エンジン「Falcon」(開発コード名)を開発すると発表して、他社にもMySQLのストレージ・エンジンの開発を促し、これはOracleへの牽制という見方がなされた。

 だが、MySQL ABのアーキテクチャ担当ディレクター、ブライアン・アカー氏は、自身のブログを通じて、同社の一連の動きをOracleの支配脱出を目指したものと見るのは誤りだと表明している。

 ブログの中でアカー氏は、「現在、当社はBerkeley DBへのサポートを最新の状態に維持するためにエネルギーを注いでいない。そのことは当社にとってもOracleにとってもイメージ・ダウンになっている」とし、それを是正するには、Sleepycatのコードの分岐バージョンが使用されている現行のBerkeley DBエンジンに大きく手を加えなければならないと説明している。また、MySQLとの互換性も維持するべく、サードパーティが進んでBerkeley DBエンジンをアップデートするようなことがあれば、それを他のサードパーティのストレージ・エンジンと同じ形でサポートを提供することを検討できるようになるとの見解を示している。

 この件についてOracleにコメントを求めたが得られなかった。なお、同社は9月27日にBerkeley DBのバージョン4.5の発表を予定している。

(エリック・レイ/Computerworld オンライン米国版)

提供:Computerworld.jp