IBM、次世代Opteron搭載の新サーバを発表──初の「Cool Blue」対応モデル

 米IBMは8月1日、AMDの新型Opteronプロセッサを搭載した新型ブレード・サーバ2機種と新型ラックマウント型サーバ3機種を発表した。価格や出荷開始時期は、「Rev F」バージョンと呼ばれているAMDの次世代Opteron(正式名称は「Next-Generation Opteron」)が出荷される2006年第3四半期に明らかにする予定としている。

 今回投入された新製品は、ブレード・サーバの「BladeCenter LS21/LS41」とラックマウント型サーバの「System x3455/3655/3755」。

 BladeCenter LS21は、科学研究や金融サービスなどのハイパフォーマンス・コンピューティング向けに最適化された2ウェイのブレード・サーバ。一方、BladeCenter LS41は、データ・ウェアハウスやERP(Enterprise Resource Planning)アプリケーションなどの大規模システム向けのサーバで、4ウェイへの拡張が可能となっている。

 System xシリーズは、さまざまなアプリケーションに対応できるよう設計されている。モデル「3455」はデータベースやLinuxクラスタ向けに、モデル「3655」はビデオ・オンデマンドやIPテレビ向けに最適化されており、モデル「3755」は気候シミュレーションなどの大規模エンタープライズ・タスクに対応する。

 新型サーバの初期バージョンは、すでに一部の顧客に導入されている。例えば、米国ムーブはオンライン不動産情報の提供などのタスクに、米国アイリス・ワイヤレスは無線テキスト・メッセージの処理に、米国レッド・ブル・レーシングはF1レーシング・カーの空気抵抗シミュレーションにIBMの新型サーバを使用している。

新技術「Cool Blue」採用でライバルに対抗

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米レッド・ブル・レーシングは、IBMの新型サーバ「System x」シリーズを使ってF1レーシング・カーの空気抵抗シミュレーションを行っている (クリック拡大)

 IBMは、優れた電力効率を強調することでサーバの販売を伸ばしたいと考えている。同社の予測によると、2007年にはデータセンターにおける電力と冷却関係の費用が新しいサーバの購入費用を上回るようになるという。

 IBM システムズ&テクノロジー・グループのxSeries部門担当ゼネラル・マネジャー、スーザン・ホイットニー氏によると、新型サーバでは、各種のハードウェア技術とソフトウェア技術を組み合わせた「Cool Blue」と呼ばれる電力管理技術の採用により、同等のブレード・シャーシと比べて1ワット当たりのパフォーマンスが40%向上しているという。

 また、各ラックの背面を覆う水冷式のドアから排出される空気を冷却することで、熱の放射を減らす設計になっている。これにより、チップの性能を完全に引き出すことができるとしている。

 IBMは、2003年からAMDプロセッサ・ベースのシステムを提供しているが、サン・マイクロシステムズやヒューレット・パッカード(HP)などのライバルは、さらに多彩なx86サーバを販売している。

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「BladeCenter LS41」 (クリック拡大)

 IBMの広報担当者ジェフ・ベンク氏は、「HPは、幅広い製品ラインを持っているが、IBMは今後、あらゆる分野でHPに対抗していく」と意気込みを示している。

 同氏によると、IBMの新型サーバは、次期OpteronのRev Fチップを使用しているため、従来モデルである「Rev E」チップを採用したサンの新しい「SunFire」ラインよりも優れているという。

 なお、AMDの広報担当者フィル・ヒューズ氏によると、Rev Fチップでは仮想化機能が強化されているほか、メモリがDDR1からDDR2にアップグレードされ、将来の拡張に対応する4コア機能も搭載しているという。AMDは8月15日にRev Fチップを正式に発表する計画だが、ベンダー向けにはすでに出荷を開始している。

 今回のIBMの発表は、AMDのサーバ市場における優位性を高める可能性がある。AMDはこれまでOpteronの提供により市場シェアを順調に伸ばしてきたが、最近は、新型サーバ・チップを投入して勢いを取り戻しつつあるインテルの攻勢に直面している。

(ベン・エームズ/IDG News Service ボストン支局)

米IBM
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提供:Computerworld.jp