IBM、AMDベースのサーバ製品ライン拡充へ
IBMはすでにAMDのOpteronチップを搭載したローエンド向けサーバを販売しているが、今回の製品ライン拡充により、ハイエンド向けサーバの選択肢が増える見込みだ。
IBMはまだ詳細を明かそうとしないが、同社のサーバやチップの設計を担当しているシステム部門が近々、新しい製品や提携について発表する予定としている。IBM広報担当者のジョアンナ・ブルーアー氏は、それを「当社の今年最大の発表」と称している。同氏によると、IBMは近日中にニューヨークで記者発表会を開き、「データセンターを変貌させるITイノベーションおよび新技術の将来」について語る予定だ。
サーバ市場でライバル関係にあるサンは、今回のIBMの動きは同社の新たな市場シェア獲得にはつながらないとの見方を示している。その理由は、SunのSolarisがIBMのAIXよりもセキュリティおよびオープンソース開発で優位を維持しているからだとしている。Sunのシニア・バイスプレジデント兼ストラテジック・インサイツ・オフィサー、ラリー・シンガー氏は、「AMDベース・システムへの取り組みに関して、SunはIBMよりも2年先行している。x64 Opteronシステムの実環境における実装ではさらに大差を付けている。IBMはSunのAMDベース・システムと一騎打ちするどころか、追い付くことすらできないだろう」と声明で述べている。
Sunは7月11日に発表した新型サーバ「Sun Fire x4600」、「Sun Fire 8000」、「Sun Fire x4500」でIBMに対抗することになる。
AMDにとって、IBMの動きは歓迎すべきニュースとなったはずだ。というのも、ライバルのIntelがここ数週間にわたって一連の新型チップを発表したことにより、注目を奪われていたからだ。
IntelはWoodcrestプロセッサ投入により、数四半期にわたりAMDのシェア拡大を支えてきたOpteronと互角に戦える体勢を整えた。これに対し、AMDは8月15日に発表予定の「Rev. F」と呼ばれる新設計のOpteronチップで反撃に出ようとしている。
米イルミネータのアナリスト、ゴードン・ハフ氏は、このOpteronのアップグレードが、IBMがAMDベースのサーバ製品ラインを拡充することを決めた理由の1つになったと見ている。
「IBMはAMDにとって初期の重要なパートナーであり、2003年の初のOpteronプロセッサ発表会にも同席していたが、その後のIBMの動きは、HPやSunに比べて鈍かった」とハフ氏は指摘する。
IBMがAMDのチップ採用に積極的でなかった理由としては、IBMが自社のx3チップセットへの投資を無駄にしたくないと考えていたことや、同社がすでに3種類のチップ・アーキテクチャ(IBMのPower5とPowerPC、Intelのx86)への対応で手一杯だったことなどが考えられる。
ハフ氏は、「これまでIBMでは、Opteronは“二級市民的”な位置づけとされていた。しかし、次期OpteronのRev. Fバージョンは、IBMがより広範な製品ラインを発表するのにふさわしいタイミングで投入されたようだ」と述べている。
(ベン・エームズ/IDG News Service ボストン支局)
米IBM
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提供:Computerworld.jp