Borland、開発プロセスの効率化を支援する2製品を発表

 ボーランドは7月12日、同日に発表したIT管理/ガバナンス・ソフトウェア「Borland Tempo日本語版」と要件定義ソフトウェア「Borland Caliber DefineIT 2006日本語版」の国内提供および事業戦略に関する記者発表会を行った。

 ボーランドは今年2月、統合開発環境(IDE)事業の売却を発表し、現在は事業の中核をALM(Application Lifecycle Management)に移行しつつある。IDE事業の売却先はまだ公表されていないが、売却のための準備は順調に進行しているという。

 発表に際し、米Borland Softwareで社長兼CEOを務めるトッド・ニールセン氏は、「現在のソフトウェア開発は、非常に複雑になってきている。開発者やユーザーなど多くの人々が携わり、開発プロセスの至るところでコミュニケーション・ギャップが生じている。こうした状況を解消するためには、開発プロセス全体を改善することが不可欠である」と語り、ALMにさらに注力する意向を明らかにした。

 同社は今後、「IT管理とガバナンス」「要件定義と管理」「変更管理」「ライフサイクル品質管理」という4つの領域で製品を提供する。今回発表された2製品は、前述の4領域のうちIT管理とガバナンス、および要件定義と管理を担うものになるという。

 IT管理とガバナンスを担うTempoは、「デマンド管理」「ポートフォリオ管理」「プロジェクト管理」「リソース管理」「財務管理」「資産管理」という6つの機能により、開発プロジェクトの状況を可視化するソフトウェア。これにより、開発プロジェクトの現状を把握し、コストや効果、リスクといった要因に基づいて、そのプロジェクトを評価することが可能になるという。出荷は2006年第4四半期を予定しており、価格は全機能を利用できる1ポートフォリオ・ライセンスが33万6,000円、閲覧のみの機能に限定される1ライト・ライセンスが3万3,600円となっている。

 米Borland Softwareのプロダクトマーケティング担当バイスプレジデントを務めるエリック・フリーバーグ氏は、Tempoの特徴について、「新しい要件の追加や要件の変更、スケジュールの変更といった事態に柔軟に対処し、常にプロジェクトの最新の状況を把握することにフォーカスしている」と説明する。

 要件定義と管理を担うCaliber DefineIT 2006は、フロー・チャートなどを用いた視覚的な表現方法で開発者が要件を記述できるソフトウェア。開発者側とユーザー側との双方が視覚的に要件を把握することで要件のあいまいさを排除でき、開発プロセスにおけるコミュニケーション・ギャップの解消が可能になるという。同日より出荷され、価格は1指名ユーザー・ライセンスが3万3,600円となっている。

 Caliber DefineIT 2006についてフリーバーグ氏は、「ソフトウェアの開発作業に費やされる時間の40%が、手戻り作業に費やされているのが実情だ。要件定義段階でのコミュニケーション・ギャップを解消することで、この時間を削減することができる」と語った。

 一方、日本法人の代表取締役を務めるジュリアン・クイン氏は、「ボーランドは日本でも20年以上の歴史を持つ。経験豊かなチームを有しており、国内のニーズを詳細に把握している」と、国内での今後の事業展開に自信をのぞかせた。

 また、クイン氏は、オフショア開発の増加、日本版SOX法への対応、2007年問題に対処するためのオープン化の進展などを背景に、さまざまな分野でALMに対するニーズが高まっていると強調し、こうした多用なニーズに対応できる開発フレームワークを提供していくと、同社の方向性を示した。

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IT管理/ガバナンス・ソフトウェア「Borland Tempo日本語版」(クリック拡大)
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要件定義ソフトウェア「Borland Caliber DefineIT 2006日本語版」 (クリック拡大)

(大川 泰/Computerworld)

ボーランド
http://www.borland.com/jp/

提供:Computerworld.jp