CIOの優先課題は「コスト削減」と「技術革新・変化への対応」

 IDC Japanは7月10日、今年4月に実施したCIO調査の結果(国内企業863社が回答)を発表した。それによると、ユーザー企業が最も優先する経営課題およびIT課題は、それぞれ「コスト削減」37.3%、「技術革新・変化への対応」23.4%となった。

 経営課題を昨年年3月に実施した調査結果と比較すると、「財務体質の改善」「業務プロセスの改善」が順位を上げたほか、ランク外であった「生産性の向上」や経営課題の対象項目として挙げられていなかった「人材確保」が新たに上位10項目に入った。

 国内経済が回復から成長へと向かい、企業業績の回復の兆しも見えてきているにもかかわらず、「コスト削減」を経営課題の最優先に挙げる企業の割合は昨年よりも高くなった。この点について、IDC Japanでは、企業間競争の激化や、原油高、円高、金利上昇懸念など、企業を取巻く外的要因の影響を最小限に抑え、業績の継続的な成長を維持したい企業の強い意志が働いていると分析する。

 IT課題については、「技術革新・変化への対応」の優先度が最も高く、新しい情報技術をどのように事業強化や新規事業に取り込んでいくかが最重要の課題になっている。また、大企業では、巨大化、複雑化している情報システムをどのようにスリム化し、運用・管理コストを削減していくかが引き続き大きな課題となっている。さらに、IT企画・戦略を担う人材の不足も一部の大企業を除いて高まっている。

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国内企業のCIOが重視する経営課題の変化(2005年と2006年)

 IDC Japan ITサービス・リサーチ・アナリストの中尾晃政氏は、「ユーザー企業では、ビジネスの強化に向けたITのさらなる活用が求められている。ITサービス・ベンダーは、自社の収益性を高めるために効率的なサービス提供の仕組みを整えるとともに、戦略的なアドバイスや協働する関係の構築がますます重要になってきている」と指摘する。

 今回の発表の詳細はIDC Japanが発行した「2006年 国内CIO調査:ITサービス利用実態」で報告されている。同リポートでは、CIOにとっての経営課題、IT課題、ベンダー選択基準、IT予算増減傾向、オフショア、コンサルティング・サービスの利用状況などに関する調査結果を基に、各種の分析を行っている。

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国内企業のCIOが重視する経営課題(2006年)

IDC Japan
http://www.idcjapan.co.jp/

提供:Computerworld.jp