日本HP・NEC・日立、UNIXサーバ仮想化基盤の整備に向け共同プロジェクト

 日本ヒューレット・パッカード(HP)、NEC、日立製作所の3社は6月27日、HPのUNIXプラットフォーム「HP-UX」をベースとした仮想化技術「HP Virtual Server Environment」(HP-UX/VSE)を活用し、企業のミッション・クリティカル・システムの構築・運用を支援する共同プロジェクト「次世代ITインフラの整備共同プロジェクト」を開始することで合意したと発表した。

 同プロジェクトは、企業ITに対応するサーバ仮想化の実現に向け、ミドルウェアを含めた最適な構成や組み合わせを共同で検証し、信頼性の高い仮想化されたIT基盤の早期構築と、仮想化環境の早期導入を図るという目的で実施される。

 共同プロジェクトのねらいについて、日本HPの執行役員でエンタープライズストレージ・サーバ統括本部長の松本芳武氏は、「大規模で複雑なミッション・クリティカル・システム向けにきちんと動作確認した信頼性の高いハードウェア、OS、ミドルウェア構成を提供することにより、仮想化システムの設計や実装に要する時間を大幅に短縮することができる」と強調した。

 プロジェクトの主な内容の1つは、各社がそれぞれに選任エンジニア部隊を組織するとともに検証センターを設立し、共同検証などの技術協業を実施すること。各社はHP-UX/VSEをサーバ仮想化基盤として採用。共同での検証や実証、技術資料の作成などの技術協業を行う。

 もう1つは、3社が共有するミドルウェアと主要アプリケーションを検証し、既存ソフトウェアの仮想化対応を推進すること。当初対象とするソフトウェア、アプリケーションとしては、Oracle Database 10g、Oracle Application Server 10g、BEA Weblogic、SAP、HiRDB、Cosminexus、WebOTX、JP1、WebSAM、CLUSTERPRO、HP OpenViewなどがあり、今後はこれを順次拡張していく計画という。

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第1フェーズで検証されるハードウェア、ミドルウェア、アプリケーションの例 ― クリックで拡大

 3つ目は、サーバ仮想化環境に対応する最適なソフトウェアの構成配備を基本構成として確立・提供すること。インテルの64ビット・プロセッサであるItanium 2をベースに仮想化されたサーバ環境に最適な各種ミドルウェア・アプリケーションの組み合わせ・構成配備を検証し、仮想化基盤を構成する「VSEリファレンススタック」として提供する。

 日本HPは、同社が提供する「VSEリファレンスアーキテクチャ」(米国時間6月27日発表)の日本国内での普及、拡大に向け、日本HP社内に専任のエンジニア部隊(当初は10名程度)を組織するとともに、検証センター(東京・市ヶ谷事業所)を設立し、協業各社との共同検証・実証を実施する。

 NECは、同社のエンタープライズサーバ「NX7700i シリーズ」でのHP-UX仮想化環境の推進を目的に、HP-UX/VSEのエンジニア組織(当初は10名程度)を設置、「NX7700i仮想化テクノロジー検証センター」(本社内)に設立した。

 日立は、オープンミドルウェアおよびディスク・アレイ・サブシステム「SANRISEシリーズ」のHP-UX/VSEへの接続対応を進めるとともに、専任エンジニア(10名程度)で構成される検証センターを社内に設置する。

 なお、現在普及が進みつつあるWindows対応のVMwareやオープンソースのXENなどの仮想化技術と、HP-UX/VSEとの切り分けについて、NECのコンピュータソフトウェア事業部長 山元正人氏は、「VMwareなどの仮想化技術は比較的小規模なシステムに適しており、大規模で複雑なミッション・クリティカルなシステムではHP-UX/VSEが力を発揮する」と説明する。

 また、日立の情報・通信グループ エンタープライズサーバ事業部第三サーバ本部長、中村雅幸氏は、「高い信頼性が求められ、可用性の高い仮想化システムを構築するにはHP-UX/VSEが最適だ」と強調した。

 今回発表された共同プロジェクトは、6月から開始され、プロジェクトの第1段階としてVSEリファレンスアーキテクチャを提供し、それに基づいたサーバ・システム構築の支援やサービスを提供していく。

(益田 昇/Computerworld.jp)

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