NetApp、ハイエンド仮想化ストレージOSをリリース

ネットワーク・アプライアンス(NetApp)は6月12日、1つのネーム・スペースでペタ・バイト(PB)サイズまでストレージ容量を拡大することができるストレージOSのアップグレード版「Data Ontap GX」の出荷を開始した。

 高性能コンピューティング環境をターゲットにした同OSには、NetAppが2003年に買収したスピネーカー・ネットワークスのグローバル・ネーム・スペース技術が採用されている。

 Data Ontap GXは、エンターテインメント、電子設計、地震研究といった分野のユーザーがNetAppのストレージ・アレイ「FAS6070」や「FAS3050」を仮想化し、単一のプール化されたストレージ・システムを構築できるよう設計されている。

 映画『スターウォーズ』の特殊効果などを手がけるインダストリアル・ライト&マジック(ILM)は、2年以上前から自社のストレージ・アレイ・システムにData Ontap GXを搭載したプロトタイプを使ってきた。

 ILMの幹部は、同システムを使うことによって、1つの映像処理案件に最大6PBまでストレージ容量を割り当てることができるようになったと語っている。

 ILMの上級システム・エンジニア、マイケル・トンプソン氏によると、Data Ontap GXを使うことにより、アニメーター側は、どの映像ショットがどのサーバに保存されているのか、どのサーバの容量がいっぱいになりそうなのかといったことを気にする必要がなくなったという。

 「このシステムがなければ、30TBのボリュームを10個も用意しなければならなかったところだ。おかげで当社のユーザーは、ストレージを電気や水道のように使うことができるようになった」(トンプソン氏)

 ILMでは、同システムのおかげで、2,500フレームに及ぶ(100秒を超える)『スターウォーズIII:シスの復讐』のオープニング・バトル・ショットを制作することができた。トンプソン氏によると、これまでアニメーターが制作できるショットは、およそ30秒に制限されていたという。

 ILMは、SUSE Linuxが稼働するAMDの64ビットOpteronプロセッサ・マシン3,000台で構成される画像編集システムを導入し、およそ100台のFAS270Cストレージ・アレイと20台のスピネーカー製Spin Serverを組み合わせて単一の200TB仮想ディスクを実現している。

 同社は、複数のサーバとアレイにまたがるストレージ・プールを構築できるようになり、より長く複雑なショットも制作可能になった。

 トンプソン氏は、「1つのショットを制作する場合、そのショットに使われるリソースの大半は、同じストレージ・システムに格納される傾向がある。このストレージ・システムがなければ、ショットを細かく分散しなければならず、複雑な映像効果を実現できない。しかし、仮想ディスクなら、負荷を複数のストレージ・システムに振り分けられるため、より複雑で手の込んだショットを制作できる」と語っている。

 スターウォーズIIIでは2,500フレームのショットが使われたが、この記録は、映画『ポセイドン』で4,000フレームのショットが使われたことですでに破られているという。

 「以前使っていたファイル・サーバにこれらのスーパー・ロング・ショットを入れたら、すぐに壊れてしまうだろう。しかし、負荷を振り分けることができるようになっていれば、複数のサーバでショットをつないだり、絶えずパワーを高めたりすることができる」(トンプソン氏)

 ちなみに、ILMはスピネーカーがNetAppに買収される数日前に同社から直接OSを購入したという。

 Data Ontap GXの価格は、7TBのストレージ容量を持つ2台のFAS3050ノードを使った構成に対応するバージョンで21万2,000ドルからとなっている。

(シャーロン・フィッシャー/Computerworld オンライン米国版)

米ネットワーク・アプライアンス
http://www.netapp.com/

提供:Computerworld.jp