Red Hat Linux ProjectがFedora Linuxと合併し、Fedora Projectへ

Red Hatは9月22日、 7月にコミュニティベースへの開発へ移行すると発表していたRed Hat Linux の開発を行うRed Hat Linux ProjectとRed Hat用に高品質な拡張パッケージを提供 しているFedora Linux が合併し、Fedora Project としてRed Hat Linuxの開発を続けることを発表した。

Fedora Linuxは「Red HatのDebian」とも称されることがある Red Hat Linux用のアドオンや強化パッケージの大規模なリポジトリを提供 する非営利の開発プロジェクト ( opentechpress.jp記事)。 ハワイ大学の学生であるWarren Togami氏によってプロジェクトが開始され、 Red Hat 9用には200を越えるアドオンと強化パッケージが提供されている。 開発形態もDebianを意識しているが、パッケージリポジトリはaptと yum(Yellow dog Updater, Modified)に対応し、 apt-rpm、yumでパッケージのインストールが可能になっている。

Red Hatは7月22日、正式リリース時にはRed Hat 10(コードネーム:Cambridge) となるRed Hat Linuxの β版をリリースしたが、その際、社外のコミュニティ開発者を Red Hat Linuxの開発作業に参加させることを意図した開発プロセスと 次のメジャーリリースからRed Hat Linuxをリテール(店頭でのパッケージ)販売 をしない方針を打ち出した。一般的にRed Hatのディストリビューションと 呼ばれているものにはRed Hat LinuxとRed Hat Enterprise Linuxの 二つの系統があるが、利益の出しにくいリテール向けのRed Hat Linuxの開発 をコミュニティに任せ、リリースサイクルの短縮とコスト圧縮を狙うという 方向性である。

今回の発表は、Red Hatがある程度の制御を行いながらもコミュニティとの 協調体制で開発を行うRed Hat Linux ProjectとRed Hatのアドオン開発を 行うプロジェクトとして実績を積んできたFedora Linuxがお互いに共通の ゴールを目指していることから、プロジェクトの合併に至ったという。 プロジェクトの名称はFedora Projectということで、Fedora Linuxに Red Hat Linux Projectが合流するような形態に見えるが、プロジェクトの 運営はRed Hatが行い、Red Hat側にある程度の制御権がある形になる見込み。 また、Fedoraの商標はRed Hatが持つことになっている。 Fedora Linuxのサイトには、まだリポジトリ、ドキュメント等が 残っているが、これらはここ数ヵ月でFedora Project側へマージされるという。

Red Hatは9月18日に 2003年第2四半期の好調な決算を発表していたが、 リテールに関しては310万ドルの売上に留まり、第1四半期の 450万ドルの売上からも下げている。コストやEnterprise製品の成長を 考えると、今回のRed Hat Linuxにおけるコミュニティとの協調強化の 動きは妥当な選択だと言える。