Fedoraパッケージマネージャに脱帽

パッケージ管理──アプリケーションをインストールし、 管理する方法──は多くのLinuxユーザーにとって悩みの種だ。 この問題に取り組んでいるプロジェクトの1つに、「Red HatのDebian」という呼称を 好むプロジェクトFedora がある。

Fedoraは、高校時代からLinuxに関わり、ハワイ大学でコンピュータサイエンスを 専攻している4年生Warren Togamiを中心にした独立研究プロジェクトである。 彼は、「コミュニティを広げ、無料セミナーを開催し、 公立校や私立校にLinuxサービスやK12LTSPを提供する」という趣旨の Hawaii Open Source Education Foundationを創設したメンバーの1人である。

Fedoraを設立した動機をTogamiに尋ねると、 昨年、aptでFreshRPMS リポジトリを使ってみて、これを拡張するのはいいアイデアだと思ったという返事が返ってきた。 そこで、彼は、開発に参加して提供パッケージを増やしたいとFreshRPMSのMatthias Saouに 申し出たが、Saouは興味を示さなかったそうだ。 そのため、Togamiは、「 提案書 をFreshRPMSに送り、Red Hat Linux用のアドオンや強化パッケージの 大規模なリポジトリを作成するパッケージ制作ボランティアから成る Debian風コミュニティの創設を提案した」。Fedoraはその成果である。

Togamiは、RPM用の高品質なパッケージを提供したいと強く願っている。 また、複数のリポジトリが共存するより、1つのリポジトリの方が技術的な ソリューションとしては優れているという強い信念を抱いている。 Fedoraサイトの該当トピックスを見れば、彼の考え を知ることができる。

Fedoraの対象はRed HatとFedoraのパッケージだけである。 Fedoraを使い始めたいときは、サポートされているパッケージマネージャが Fedoraプロジェクトのリポジトリを指すように構成するだけだ。 Fedoraのサイトには、apt用とyum用にRPM downloadsが用意されている。ここには、Red Hat 8.0用とRed Hat 9用のほか、 最新(Red Hat 9.0.93)ベータバージョンであるsevern用のバージョンがある。

Red HatユーザーにとってFedoraの意味とは何だろうか。1つは、 Red Hat自体は備えていないアプリケーションやツール用のRPMパッケージ (MplayerやWineなど)を提供してくれることである。また、 どのパッケージも徹底的にテストされているため、あちこちの RPMを混用したときに発生しかねない障害の犠牲になるおそれがない。

さらに、Fedoraは、使用中のRed Hatバージョンのリリース時に 流通していたバージョンのアプリケーションだけでなく、 そのアプリケーションの最新バージョンも提供してくれる。 また、間接的なメリットとしては、Fedora開発者がRed HatのRPM自体にある バグを見つけ出して解消しているという事実がある。Togamiは、 Red Hatの公式RPM保守担当者であるJeff Johnsonが、「Fedoraで運営するRPMの 公式開発分室」を設立して、この作業を行うための足がかりをFedoraプロジェクト に与えてくれたと語っている。

ワンサイズは全サイズの代用品にはならない

Fedoraを試してみようと考えて、Red Hat 9用のaptをダウンロードし、 インストールした。/etc/apt/sources.listにあるデフォルトミラーは ハワイ大学のメインリポジトリだ。アメリカ在住でない場合は、 別のミラーを選ぶ方がよいだろう。また、Fedoraプロジェクトが親切にも aptやyumと同じページに置いてくれていたapt用のGUIフロントエンドも インストールした。

Fedoraの安定リポジトリにあるMplayerとその他のMplayer関連パッケージ (スキンやGUIフロントエンドなど)でFedoraの成果を試してみた。 しかし、悲しい現実に気づくことになった。Fedoraによれば、 Red HatとFedoraのパッケージでしか使えないようになっているのだ が、まさにそのとおりで、それ以外の何ものでもなかったのである。

私はRed Hat 9上でXimian Desktop 2のベータを動かしている。ところが、 Mplayerをインストールしようとしたら、Mplayerをインストールする には多数のXimianパッケージ(gnumeric、gnucash、bonoboなど)を アンインストールする必要があるとaptに言われてしまった。そのため、結局、 そこでやめざるをえなかった。Fedoraを使うことで避けたかったものこそ、 クロスディストリビューション/マルチリポジトリに起因する憂鬱、 XimianとRed Hatの各種パッケージ間の競合を避けたい私には 結果的に何の意味もなかった。

Fedoraが万人向けではないことは明らかだ。私は これを使うためにXimianをあきらめる気にはなれない。

私がほしいのは、どのディストリビューションでも対応できる 汎用パッケージ管理ソリューションだ。これなら、どのLinuxを好むかに関係なく Linuxユーザー全員がリポジトリを活用できる。 残念ながら、このLinuxコミュニティは、物事のあるべき姿に関する ディストリビューション間の不一致を解決できる能力で 名を馳せているとは言い難い。しかし、Fedoraは正しい方向に進むための 第一歩ではある。

Fedoraプロジェクトがリポジトリを拡張し続けるのを支援したいという 気持ちがあるなら、さまざまな方法がある。Togamiの話によると、 「提案された作業を大量に抱えているが、品質保証試験を 担当するボランティアが十分ではないため、たくさんの作業が 数週から数か月も公開待ちのままになっている」。

Fedora Projectが現時点で抱えているパッケージャは10〜15名 である。Red Hat 9リポジトリには、利用可能なパッケージが200 以上もある。そのうち、175は安定パッケージ、34はテスト中、 14は不安定だ。QA待ちのパッケージは136で、17は既存バージョンに 対するアップデートである。

QAテストを手伝って、この待ち時間の削減に協力してもらえれば、 最大の障害を克服することができる。また、サーバーを更新できるように、 金銭を寄付してもらうこともできる。リポジトリの ミラーを用意するという支援方法もあるだろう。

Joe Barrは、テクノロジに関しては10年間、Linuxに関しては5年間、 執筆活動を続けている。著作は『IBM Personal Systems Journal』、 『LinuxGazette』、『LinuxWorld』、『Newsforge』、『phrack』、『SecurityFocus』、 『VARLinux.org』で読むことができる。また、Linux Liberation Armyの公式ニュースレター 『The Dweebspeak Primer』の創刊者でもある。