93%の企業が「オープンソース開発者の雇用に苦労」ーーLinux Foundation調査

 オープンソースを支援する非営利団体The Linux Foundationは6月22日(米国時間)、オープンソースの雇用に関する年次調査「Open Source Jobs Report」を公開した。新型コロナがひと段落付きつつあり、オープンソース人材の維持と採用の両方で企業は苦労していることがうかがえる結果となった。

 Open Source Jobs ReportはLinux Foundationと米2Uのオンライン学習プラットフォーム「edX」が作成する年次調査で、今年で10回目となる。調査期間は2022年3月、オープンソーススキルをもつ人材1672人、雇用に責任を持つ担当者559人を対象とした。

 産業界でクラウドの受け入れとデジタル変革(DX)が進みつつあることを受け、オープンソース人材への需要は高止まりしているようだ。オープンソースのスキルをもつ人の73%が「新しい役割を見つけるのは簡単」と回答、雇用側は93%が「十分なスキルのある人材を探すのに苦労している」と述べた。「今後6ヶ月でオープンソース人材の雇用を増やす計画」と回答した雇用主は46%に及んだ。

 63%のオープンソース人材がこの1年で仕事を変えてないと回答しているが、残る27%は離職または転職していた。米国を中心にコロナにより働き方や仕事を見直してそれまでの仕事を辞める「大退職時代」が押し寄せており、オープンソース人材も無縁ではないようだ。人材維持で差別化する方法は、給与やボーナスなどの経済的報酬になりそうだ。3人に2人のオープンソース人材は高い報酬が転職の要因になると回答している。フレックス制やリモートワークは業界標準になっており、「働き方に関連した福利厚生は検討材料に入らなくなりつつある」とも報告している。

 分野別では、クラウドとコンテナ技術のスキルが最も需要が高く69%がこれらのスキルを持つ人を探しているという。クラウド、Linux、DevOpsに続いて人気なのがサイバーセキュリティで、40%近くの雇用主がセキュリティを挙げた。オープンソース人材の77%が、サイバーセキュリティトレーニングを受講することはメリットがあると回答していることも報告している。

「Open Source Jobs Report」
https://www.linuxfoundation.org/tools/the-10th-annual-open-source-jobs-report/