「Linux 5.16」が公開

 Linus Torvalds氏は1月9日、最新のLinuxカーネルとなる「Linux 5.16」の公開を発表した。

 Linux 5.16は2021年10月末に公開されたバージョン5.15に続く最新版。8回のリリース候補(RC)を経ての公開となった。

 システムコールfutex_waitv(2)を導入した。単一のシステムコールで複数のfutexを待つことができる。メインのユースケースとして、WindowsのWaitForMultipleObjectsのエミュレーションを挙げている。

 システムのメモリの管理では、ページフォリオを導入した。RAMを分割したメモリページを1つ以上複合ページコンセプトを持ちながら、セマンティックスを改善したもので、これを利用することで、よくあるワークロードの性能を改善できるという。5.16では、ページフォリオの中核となるインフラを導入し、メモリ管理サブシステムとページキャッシュの一部を変換した。

 タスクスケジューラーでクラスタスケジューラーをサポートした。また、ファイルシステムのヘルスレポートでは、FAN_FS_ERRORを導入した。ファイルシステム全体のエラーレポーティングのためのfanotifyイベント型で、イベント情報を受信して通知するなどのアクションを行うデーモンがこれを活用できる。前回の通知以来、最初のエラーのみをレポートし、追加のエラーをカウントすることで、最も重要な情報を届けるという。

 このほか、AMX(Intel Advanced Matrix Extension)の命令セットのサポート、デーモンベースのプロアクティブなメモリ再利用など多数の機能強化が加わっている。

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