SFCがVizioをGPL違反で提訴、「コピーレフトライセンスに遵守していない」

 フリー/オープンソースプロジェクトを支援する非営利団体Software Freedom Conservancy(SFC)は10月19日(米国時間)、米VizioをGPLの基本的要件を満たしていないとして提訴したことを発表した。消費者の権利を保護することを目的とし、損害賠償金額の要求はしない。

 SFCによると、VizioのTV製品のベースとなる「SmartCast」システムで、VizioはGPLの下で公開されているソフトウェアプログラムを複数使っているものの、GPLを遵守していないという。訴状は、米カリフォルニア州の上位裁判所に10月19日に提出した。

 GPLはコピーレフトの概念に基づくライセンスで、ユーザーに使用、調査、再利用、修正の自由を約束する。Vizioはコピーレフトが要求するソースコードやその他の技術的情報を共有しておらず、消費者は購入したTVを修理したり、自分のプライバシー情報を保護したり、アクセシビリティなどのために他社技術を利用することができない、とSFCは記している。

 SFCによると、2018年8月にVizioにGPL違反を指摘し、その後1年間働きかけたという。だが、Vizioは遵守を拒否し、2020年1月以降回答しなくなったとのこと。  なお、通常このような訴訟は著作権の所有者が違反者を訴えることが多い。SFCがGPLの受益者としての個人のコンシューマーの権利を擁護して訴訟を起こすのは、今回が初めてという。「法廷がVizioに対し、コピーレフトの規制を遵守して義務を履行するように命じるように求めている」とSFCの執行ディレクター、Karen M. Sandler氏はコメントしている。そのため、損害賠償金額ではなく、TVを購入した全ての顧客に対して技術情報にアクセスできるようにすることを求めている。

Software Freedom Conservancy(SFC)
https://sfconservancy.org/