「Ubuntu 21.10(Impish Indri)」が登場

 英Canonicalは10月14日、最新のLinuxディストリビューションとなる「Ubuntu 21.10(Impish Indri)」の公開を発表した。

 Ubuntuは半年のリリースサイクルを持ち、21.10は4月に公開された”Hirsute Hippo”ことUbuntu 21.04に続くもの。メンテナンス期間は9ヶ月。Linuxカーネル5.13とGNOME 40をベースとし、デフォルトのツールチェーンはgcc 11.2.0、glibc 2.34となっている。Linuxカーネル5.13により、メモリエラー検出機構Kernel Electric Fence(KFENCE)を利用できるようになった。KFENCEはデフォルトで有効となっており、amd64とarm64でパフォーマンスへの影響を最低限におさえながらカーネルスタックのメモリ割り当てをランダム化するという。

 Ubuntu Desktopでは、Nvidiaのプロプライエタリなドライバ使用でのWaylandをサポートした。PHP 8をサポートし、静的解析を支援する。Gnome 40デスクトップにより、新しいActive Overview、動的なワークスペース、タッチパッドジェスチャーなどの機能を利用できる。LibreOffice 7.2、Thunderbird 91などのアプリケーションに加えて、Mozillaが作成したFirefoxスナップも利用できる(バージョン92)。なお、Canonicalのユニバーサルアプリであるsnapを入手できるsnap storeは毎日1000万以上のシステムを支えており、snapの数は過去1年で25%増加しているという。サウンドサーバーPulseAudioはバージョン15となり、Bluetooth接続のサポートが加わった。

 Windows開発者向けに Windows Subsystem for Linux(WSL)でグラフィカルアプリケーションをサポートした。修正することなくUbuntuデスクトップアプリケーションを使用できるという。

 Ubuntu Serverでは、Kubernetes、Ceph、OpenStack Xena、QEMU 6.0、PHP8、libvirt 7.6などサポートした。Docker Hub、Amazon ECR Public RegistryよりOCIイメージを入手できるようになった。Canonicalは企業向けとしてGrafana、Prometheus、NGINXなどを含み、10年間の規制遵守とセキュリティアップデートを含むLTS Docker Imageも用意する。

 CanonicalのKubernetesディストリビューションMicroK8sでは、CNCF認定を受けたKubernetes 1.22をサポートする。最新版では、MicroK8sをIBM Zでも利用できるようになった(ベータ扱い)。このほか多数の強化や修正が加わっている。同日、Ubuntu Budgie、Kubuntu、Lubuntu、Ubuntu Kylin、Ubuntu MATE、Ubuntu Studio、Xubuntuもリリースした。

英Canonical
https://www.ubuntu.com/