財務機関におけるオープンソース活用ーーメリットを感じるも体制に課題

 The Fintech Open Source Foundation(FINOS)は10月5日(英国時間)、財務機関におけるオープンソースの活用を調べる年次調査「THE 2021 STATE OF OPEN SOURCE IN FINANCIAL SERVICES」を発表した。オープンソースソフトウェアへのメリットを感じながらも、ガバナンスなど体制作りに課題がある現状が浮き彫りになった。

 The Fintech Open Source Foundation(FINOS)は金融機関におけるオープンソースソフトウェア、オープンな標準、ベストプラクティスの受け入れを促進するための非営利団体。Symphony Software Foundationとして2015年に立ち上がり、その後Goldman Sachs、Deutsche Bankのプログラム貢献を受けて、2018年にFINOSとして設立された。2020年にLinux Foundation傘下となった。JPMorgan Chase、UBSなどの金融機関、Red Hatなどの企業も参加している。

 THE 2021 STATE OF OPEN SOURCE IN FINANCIAL SERVICESは、Linux Foundationのリサーチ部門、GitHub(米Microsoft傘下)などが中心となり、300人以上の財務機関、開発者、IT担当などを対象に行った調査。調査では、金融業界におけるオープンソースの状況を探った。財務機関がオープンソースに関わるメリットとしては、最低80%の財務企業がイノベーション、市場投入までの時間短縮、総所有コストの削減を挙げた。また、69%がオープンソースソフトウェアとメソドロジーは生産性を改善すると回答した。

 一方でガバナンスプログラムの実装については、遅れも指摘している。「オープンソース・ファースト(優先)か?」という質問に対しては、75%が「そうではない」「知らない」と回答した。自社にオープンソースへの貢献を促進するポリシーがあるという企業は、わずか8%にとどまった。FINOSによると金融以外の企業では36%とのこと。

 社内にオープンソースプログラムの安全で効果的な活用を担当するOpen Source Program Office(OSPO)を設置しているという企業は35%だった。  FINOSは調査結果からオープンソースのメリットに理解はあるものの、「財務サービスセクターではオープンソースのポリシー策定、構造化、戦略開発などでやるべきことがたくさん残っている」とまとめている。

THE 2021 STATE OF OPEN SOURCE IN FINANCIAL SERVICES
https://www.finos.org/state-of-open-source-in-financial-services-2021