オープンソースライセンスのOSIが初の執行ディレクターを任命、よりプロフェッショナルな団体へ

 オープンソース活動を支援する非営利団体The Open Source Initiative(OSI)は9月8日(米国時間)、初の執行ディレクターとしてStefano Maffulli氏を任命したことを発表した。OSIを管理・統括された組織に変革する重要なステップとしている。

 Open Source Initiative(OSI)は1998年にオープンソースについての教育・啓蒙を主な目的に設立された。Netscapeのソースコード公開が発表された年であり、フリーソフトウェアとの違いを明確に区分する必要があることから、Christine Peterson氏が提案した「オープンソース」という構想を進めた。 当初はEric Raymond氏とMichael Tiemann氏らが支援者となり、その後Raymond氏とBruce Parens氏が正式に組織を立ち上げた。Raymond氏は最初のプレジデントに、Parens氏はバイスプレジデントに就き、Brian Behlendorf氏、Ian Murdock氏、Russ Nelson氏、Chip Salzenberg氏らが取締役会を務めた。

 主な作業として、オープンソースの定義「Open Source Definition(OSD)」の策定とライセンスの承認がある。OSIによりオープンソースとして認められたライセンスは、引退したりとって代わったものを含むと100種を上回る。

 取締役会は2020年、OSIをよりプロフェッショナルな組織にするというプロセスに着手しており、今回の執行ディレクター任命は重要なステップと位置付けている。これまでよりも組織として強固になり、対応力を改善すると狙いを説明している。執行ディレクターの就任により、暫定的にゼネラルマネージャーを務めていたDeb Nicholson氏は退任し、プレジデントの役割は取締役会のチェアに移行する。

 Maffulli氏はFree Software Foundation Europeにて2001年から2007年までイタリアチャプターの取り組みの設立とリードを務め、OpenStack Foundationの開発者コミュニティーの構築も手がけた。オープンソース開発者として、GNU、QGIS、OpenStreetmap、WordPressなどのプロジェクトにも貢献を重ねてきた。

 Maffulli氏は、「オープンソースのソフトウェアはあちこちにあるが、その定義については常に試されている。1990年台に共有されたソースのゾンビ、限定的な使用、プロプライエタリなソフトウェアが甦り、エコシステム全体に脅威となっている」と述べ、OSIの定義とライセンス承認活動を通じてモバイル、クラウド、AI/機械学習、ブロックチェーンなどの新しいチャンスに対してOSIがより強い組織として応えていく必要があると続けている。

The Open Source Initiative(OSI)
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