JavaScriptコンパイラ「Babel」、フルタイム開発者維持のために寄付呼びかけ

 JavaScriptコンパイラの「Babel」プロジェクトが資金難に陥ったことを報告している。「2018年以来、ファンディングプランの下で実験的にフルタイムでBabelの作業ができるのか試したが、答えは「ノー」かもしれない」と記している。

 BabelはAngular、React.js、Vueなどのフレームワークに統合されており、毎月のダウンロード数は1億1700万回。米Facebook、米Netflix、米Airbnb、米Paypal、米Yahoo!など多数の企業が使用している。最新版は4月末に公開した「Babel 7.14.0」。チームは新しいECMAScript仕様の実装を進め、次期メジャーリリースであるBabel 8に向けた作業を進めている。

 今回の資金問題は、Babelのコアチームが5月10日付けのブログにて明らかにした。それによると、2018年以来、開発者がフルタイムでBabelの作業をするという実験を進めており、その年に1人、翌年からは有償の開発者を3人のメンテナーに拡大して、作業にあたってきたという。チームはフルタイムでオープンソースの作業にあたる開発者の基本給を月11000ドルと定め、2017年よりコミュニティが資金を調達できるOpen Collectiveでの調達を行った。当初はHandshakeが毎月10000万ドルを10ヶ月間寄付、その後もAirbnb、Trivago、Gatsby、AMP、Salesforceなどがスポンサーとなったことで、問題はなかったという。有償の開発者として拡大した3人は、月2000ドルのパートタイム扱いで、ゆくゆくはフルタイムにできるように資金を調達しようとしていたとのこと。

 フルタイムの1人は、企業に直接交渉したり、イベントでの講演などを通じて資金調達を図ってきたが、2020年は大きな影響を受けたとしている。「ハイテク業界はこの期間成長したが、我々は大型のスポンサーを失った」としており、パートタイム扱いだった開発者の1人は別の仕事に就くことになったという。現在、最初にフルタイムになった1人、そして残り2人は月6000ドルの一時レートで作業に当たっているとのことだ。Babelのサポートとメンテナンスのレベルを保つために、今後も開発者が有償でフルタイムで作業にあたる状況を維持することが必要と考えており、そのためには年間33万3000ドルが必要と見積もる。これは現在の2倍の規模であり、Open CollectiveやGitHub Sponsorsを通じて寄付を呼びかけている。

 「オープンソースで働くことは実現可能であり、持続性のあるキャリアパスだと強く信じている」と綴っている。BabelのスポンサーはGold、Silver、Baseがあり、Babelによると、それぞれの過去1年の寄付金額帯はGoldが月1000〜2000ドル、Silverが月500〜1000ドル、Baseが月2000ドル以上。BaseにはAirbnb、Facebookなどがあり、今回のブログの後に個人としてFreee社の幹部2人が寄付を行なったようだ。

Babel
https://babeljs.io