「Guix System 1.3」が公開
Nixベースのパッケージマネージャー兼GNU OSディストリビューションの「GNU Guix」開発チームは5月11日、最新版となる「Guix System 1.3.0」を公開した。ユーザー体験を中心に、多数の強化が加わっている。
GNU GuixはGNUオペレーティングシステムの高度なディストリビューション。GNU Projectで開発されており、任意のGNU/Linuxディストリビューションと組み合わせてパッケージマネージャとしても使用できる。Guile Scheme API、ハイレベルな組み込みDSL(EDSL)を使ってパッケージやシステム設定を定義できる。Guix System 1.3は、2020年11月に公開したバージョン1.2に続く最新版。その間、212人の開発者がコードやパッケージで貢献したという。合計のコミット数は8300件以上と報告している。
Guixの特徴であるインストール時に宣言的実装を行うためのマニフェストでは、guix package –export-manifestコマンドが加わった。既存のプロファイルのコンテンツをベースとしたマニフェストを作成するもので、これにより簡単に宣言的実装モデルに移行できるとしている。
最新のフリーソフトウェアを動かしたいユーザー向けに、パッケージ変換オプションの–with-latestが加わった。guix refreshと同じコードを用いており、最新のアップストリームリリースを照会して、フェッチ、認証、ビルドを行うという。開発者向けツールでは、guix importでGoの再帰的インポートが加わり、Goパッケージのパッケージ定義やテンプレートを作成できるようになった。Rustパッケージ向けのguix import crateも再帰的モードでのセマンティックバージョンをサポートした。このほかにも、–with-patchパッケージ変換オプションが加わった。パッチが適用されたパッケージを構築できるオプションとなる。性能も強化した。zstd圧縮技術を部分的に用いたり、guix system initの最適化などによりインストールが高速になったと報告している。POWER 9のサポートが技術プレビューとして加わった。
パッケージでは、GNU libc 2.31、GCC 10.3、Xfce 4.16.0、Linux-libre 5.11.15、LibreOffice 6.4.7.2、Emacs 27.2などを含む。camlbootで全体のビルドを構築するOCamlブートストラップも加わった。このほか、約2000のパッケージが加わり、合計のパッケージ数は1万7000となった。また、サービスカタログには、wireguard、syncthing、ipfsなどが加わっている。
GNU Guix
https://guix.gnu.org