「Linux 5.12」が公開

 Linus Torvalds氏は4月25日、最新のLinuxカーネル「Linux 5.12」公開を発表した。 Linux 5.12は2月に公開された5.11に続く最新版。8回のリリース候補(RC)を経て、予定より1週間遅れの公開となった。

 idmapped mountsとして、マウントされたファイルシステムのユーザーIDのマッピングが可能になった。これにより、複数のユーザーやマシン間でファイルの共有を簡単に行うことができるという。5.12では初期実装として、まずはFATとext4をサポート、今後他のファイルシステムもサポートする。メモリ安全のエラー検出を行うKernel Electric-Fence(KFENCE)が加わった。低オーバーヘッドのサンプリングベースで、heap out-of-boundsアクセス、use-after-free、invalid-freeエラーなどを検出できるという。

 ファイルシステムでは、Btrfsでゾーン化されたブロックデバイスの初期サポートが加わった。また、メモリページより小さな容量のブロックサイズも利用できるようになった。NFSでは、write()システムコールへの反応を制御する選択肢が加わった。デフォルトは現在の振る舞いであるwrites=lazyで、オプションとしてwrites=eagerとwrites=waitが加わった。ネットワークスタックでは、ポーリングベースの受信処理NAPIをカーネルスレッドベースで設定できるようになった。Microsoft HypervisorでルートパティションとしてLinuxを動かすことができるようになった。仮想化では、IntelのACRNハイパーバイザーのサポートも強化し、組み込みやIoT向けでも使用できる。特定の熱に合わせてデバイスの電源消費を管理できるダイナミックな熱/電源管理も加わった。

 ハードウェアではSony PlayStation 5 DualSenseコントローラー、それにNintendo 64もサポートした。picoxcell、prima2など古い32ビットARMプラットフォームのサポートは削除となった。このほかにも細かな機能が多数加わっている。

 公開を告げるメールでTorvalds氏は、「1週間の追加作業があった割には、全体として小規模なリリースになった」とし、次期版となる5.13は大きなリリースになると予想している。

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