Grafanaがライセンス変更、Apache License 2からAGPL v3へ

 米Grafana Labsは4月20日、オープンソースのモニタリングデータ可視化「Grafana」のライセンスをApache License 2から、より制限のあるAffero General Public License(AGPL)v3に変更することを発表した。

 Grafana Labはオープンソースのデータ可観測性技術として2014年に創業、以来モニタリングデータの可視化を可能にするGrafanaを中心に、Prometheusのようなログ収集ツールGrafana Loki、分散追跡トレーシングバックエンドのGrafana Tempoなどのオープンソースプロジェクトを擁する。Grafanaは、商用製品からの売り上げを技術とコミュニテイに再投資することで、Grafana Loki、Grafana Tempoなどのプロジェクトにも拡大し、Graphite、Prometheus、Cortexなどのプロジェクトにも貢献できたと説明している。このところ、「Grafana Cloud」「Grafana Enterprise Stack」など、製品も拡大している。

 今回のライセンス変更の具体的な理由については明言していないが、ここ数年、Redis Labs、MongoDB、Elasticなどがライセンスを変更しており、ライセンスを変更するタイミングとして適していると判断した、と共同設立者兼CEOのRaj Dutt氏は記している。2021年に入り1ヶ月を費やして議論を重ねた結果、AGPLに再ライセンスする判断を下したという。

 このところのライセンス変更では、MongoDBのServer Side Public Licence(SSPL)が採用されることが多いが、AGPLを選んだ理由について(SSPLがOSIの承認を受けていないのに対して)OSI承認ライセンスであり、フリー/オープンソースソフトウェアの要件を満たしていると記している。MongoDBらの決断を尊重するとしながらも、「我々にとってオープンソースコミュニティのサポートはとても重要」とDutt氏は説明している。

 Red Hat OpenShiftやCloud Foundryなどがサービスの一部としてGrafanaを提供しているが、改変されていないディストリビューションは影響を受けないという。Amazon Web Services(AWS)の「Amazon Managed Service for Grafana(AMG)」については、「AWSは戦略的パートナーであり、AMGでAWSと商業的な提携を結んでいるため、AMGの顧客は(ライセンス変更の)影響を受けない」と説明している。

 AGPLに再ライセンスするのはGrafana、Grafana Loki、Grafana Tempoの3プロジェクト。プラグイン、エージェント、一部ライブラリについては、引き続きApache License 2を採用する。ライセンス変更に合わせて、貢献者ライセンス同意書(CLA)も新しくした。

米Grafana Labs
https://grafana.com