Linux Foundationが年次レポート公開、加入企業数は5年で20%増

 非営利団体Linux Foundationは12月3日、年次レポート「2020 Linux Foundation Annual Report」を発表した。

 Linux Foundationは2020年で設立20周年を迎えた。当初、Linuxカーネル開発プロジェクトのみだったのが、現在450以上のオープンソースプロジェクトを抱えている。内訳としては、「クラウド、コンテナ、仮想化」が最も多く19%、次いで「ネットワークとエッジ」(18.8%)、「Webとアプリケーション開発」(11.2%)などとなっている。

 Linuxカーネル単体では、8月に公開した「Linux 5.8」は開発がスタートして29年間で最大のリリースとなり、1991人が開発に参加した。なお、1991という数字はLinuxカーネルがスタートした年でもある。次の5.9では、100万回目のコミットを記録した。合計のコード行は10億に達するレベルとなっており、リポジトリは約11520件、毎週1250万行が加わり、1080万行が削除されているとのこと。なお、世界のスーパーコンピューターの100%がLinuxベースで、組み込みデバイスの69%がLinuxを搭載しているという。

 加入企業は、プラチナレベルは17社、ゴールドレベルが14社を含む1000社近く。この5年で800以上の新規加入があったと報告している。通年で新たに150以上のコミュニティが加入した。この中には、オープンソースの財務サービスプロジェクトを抱えるFINOS Foundationなどもある。

 この他、Linux Foundationが持つ標準化構築のための共同作業支援Joint Development Foundation(JDF)には、新たに6つの新規のオープン標準プロジェクトが加わったことも報告している。JDFは2020年、ISO/IEC JTC 1 Publicly Available Specification提出者としての承認も得ており、最初の規格としてOpenChain使用を提出している。

 世界を襲っている新型コロナウイルス感染症(「COVID-19」)については、7月に公衆衛生機関による新型コロナ対策を支援するイニシアティブ「LF Public Health」を立ち上げたことを報告している。米IBM、VMware(米Dell Technologies)、中国TenCentらがプレミアメンバーとなり、スマートフォンを利用した接触確認・通知プロジェクトのホスティングなどを行う。

 北米、欧州、日本などで開催する「Open Source Summit」、「Linux Kernel Maintainer Summit」など多数のイベントを開催するが、これらはオンラインに移行した。トレーニングと認定では、無料のトレーニングコースの受講者は170万人となり、2020年の認定取得者は4万人。

 Linux Foundationの執行ディレクター、Jim Zemlin氏は、「難しい1年の終わりにあって、オープンなコラボレーションこそが世界の最も複雑な課題を解決するモデルだと言える」とコメントしている。

2020 Linux Foundation Annual Report
https://www.linuxfoundation.org/wp-content/uploads/2020/11/2020-Linux-Foundation-Annual-Report_113020.pdf