Apache OpenOfficeが20周年、一方でフォークのLibreOfficeは協業呼びかけ

 The Apache Software Foundation(ASF)は10月14日(米国時間)、オープンソース の生産性ソフトウェア「Apache OpenOffice」プロジェクトが20周年を迎えたことを発表した。

 Apache OpenOfficeはODF形式を採用するオープンソース の生産性スイートで、OSはLinux、macOS、Windowsなどに対応する。ワープロ「Writer」、表計算「Calc」、プレゼン「Impress」、ベクター、ベクタードロー「Draw」、数式エディタ「Math」、データベース管理「Base」の6種類のアプリケーションで構成され、言語は日本語を含む120以上の言語をサポートする。プロジェクトによると、累計のダウンロード数は3億に達しているとのこと。

 Apache OpenOfficeの20年の歴史は複雑で、それまで「OpenOffice」として長く米Sun Microsystemsの管理の下で公開されてきた。Sunが「OpenOffice」として2000年にオープンソースプロジェクトにする前は、独Star Divisionが開発する「StarOffice」として開発されてきた。Sunが1999年にStar Divisionを買収したことでSunのプロジェクトになった。

 2010年にSunを米Oracleが74億ドルで買収したことで、OpenOfficeプロジェクトもOracle傘下(「Oracle OpenOffice」)となった。しかしOracleが2011年にASFに寄贈、これにより名称は「Apache OpenOffice」に。ASFは2012年、Apache OpenOfficeをトップレベルプロジェクトに昇格している。

 なお、OracleがSunから取得したオープンソースプロジェクトの1つにMySQLもある。MySQLは現在もOracleの下でオープンソースプロジェクトとして開発が進んでいる。

 一方で、Oracle買収時にフォークとして誕生した「LibreOffice」は今年で10周年を迎えた。OpenOfficeの多くの主要開発者はLibreOfficeに移っており、Ubuntu、Fedora、SUSEなどのLinuxディストリビューションの多くがLibreOfficeを採用している。

 LibreOfficeの管轄団体であるThe Document Foundationは前日の10月13日、「OpenOfficeのコードが公開されて20周年」と言及しながら、Apache OpenOfficeは2013年にバージョン4をリリース以来、メジャーリリースがないことを指摘している。その間、LibreOfficeは5系(2015年)、6系(2018年)、7系(2020年)と機能改善を重ねているという。また、2019年にはLibreOfficeへのコードコミットは1万5000コミットだったのに対し、Apache OpenOfficeは595コミットだったという。

 そのようなことから、「OpenOfficeの将来はLibreOfficeである」として、協業を呼びかけている。

 Apache OpenOfficeの最新版は9月21日公開の「Apache OpenOffice 4.1.7」、LibreOfficeは10月8日公開の「LibreOffice 7.0.2」となっている。

Apache OpenOffice
https://openoffice.apache.org
LibreOffice
https://www.libreoffice.org