「LibreOffice 5.3」公開、UIプロジェクト「MUFFIN」を初導入

 The Document Foundationは2月1日(ドイツ時間)、オープンソースのオフィススイート「LibreOffiec 5.3」をリリースした。ユーザーインターフェイスを強化する「MUFFIN」プロジェクトの成果が導入されたほか、プライベートクラウド向けのバージョンも初公開した。

 LibreOfficeはOpenOffice.orgから分岐したオフィススイートで、2010年秋にプロジェクトがスタートした。これまでに約1100人の開発者が新たにプロジェクトに加わり、平均して常時300人がコードの開発に関わっているという。

 LibreOffice 5.3は2015年8月に初めて公開されたバージョン5系の最新版となり、2016年8月に公開したLibreOffice 5.2に続くものとなる。

 開発チームはバージョン5系よりユーザーインターフェイス(UI)の強化にフォーカスしており、「MUFFIN(My User-Friendly & Flexible INterface)」(コードネーム)というプロジェクト名でUIの改善を進めてきた。5.3ではその成果を初めて導入、デフォルトUI、Single Toolebar UI、Sidebar with a Single Toolbarに加えて「Notebookbar」という新しいオプションが加わった。それぞれ異なる層のユーザーに訴求するとしている。

 本バージョンではまた、クラウド版である「LibreOffice Online」も導入した。Webブラウザ内でコラボレーションしながらのドキュメントの編集など独自の機能を持つ。非クラウド版に忠実なレンダリングで、相互運用性も同等レベルという。LibreOffice Onlineはサーバーにインストールして、別途クラウドストレージとSSL認証を導入・設定して利用することになる。大企業のプライベートクラウド内、あるいはISPやパブリッククラウド事業者が提供するという形が想定されるという。

 LibreOfficeそのものの新機能としては、HarfBuzzベースのクロスプラットフォームのテキストレイアウトエンジンを導入、対応する全プラットフォーム上で一貫性のあるテキストレイアウトを提供する。ヘルプメニューも大きく改良し、ユーザーガイドとコミュニティサポートフォーラムへのクイックリンクが加わった。インポート/エクスポートのフィルタも改善し、新・旧バージョンのMicrosoft Officeドキュメントとの互換性を改善した。

 アプリケーション別でも、ユーザー体験の改善を中心とした機能強化が多数加わっている。例えば、ワープロ「Writer」では、サイドバーにページ設定をカスタマイズできる「Page Deck」を導入した。ユーザーは別途ダイアログを開くことなく、設定やカスタマイズができるとしている。「Table Styles」としてテーブルのフォーマット化を適用できるようになったほか、ほかのページにすぐに移動できる「Go to Page Box」も加わった。

 表計算「Calc」は、デフォルトのセルスタイルが新しくなった。フレッシュインストール時に「フォーミュラでワイルドカードを有効にする」がデフォルトのオプションとなり、ほかの表計算ソフトとの互換性を改善するという。探している機能を絞り込むテキスト入力ボックスも導入した。

 プレゼンの「Impress」では、アプリケーションを開いたときにテンプレートセクターが表示されるようになった。スライドマスターモードで、サイドバーに「Slide Properties Deck」が加わった。

 LibreOfficeにはこの他にも、数式エディタ「Math」、ドロー「Draw」、データベースの「Base」があり、それぞれ多数の機能強化が加わっている。

 LibreOffice 5.3はLinux、Mac OS X、Windowsに対応、プロジェクトのWebサイトより入手できる

LibreOffice
http://www.libreoffice.org/