Linux Foundationがカーネル開発に関する年次報告書を発表
Linuxを推進する非営利団体The Linux Foundationは2月18日(米国時間)、Linuxカーネル開発速度や開発に関与する人数などの現状をまとめた年次報告書を発表した。この10年で1200社以上の企業から1万2000人の開発者がカーネル開発に貢献、最大のスポンサーは米Intel、米Red Hat、韓国Samsungだったという。
公開された「Linux Kernel Development: How Fast It is Going, Who is Doing It, What They Are Doing and Who is Sponsoring It」はLinuxカーネルの開発プロセスに関する情報をまとめた報告書で、「Who Writes Linux」と言われることもある。コンピュータ史上最大のプロジェクトといわれるLinuxカーネルの開発プロセスや作業を理解してもらうのを支援する目的で公開されている。今年で6回目の公開となり、2013年9月にリリースされたバージョン3.11から2014年12月に公開されたバージョン3.18の期間の状況がまとめられている。
これによると、10年前に追跡を開始して以来、累計で1200社以上の企業・組織から約1万2000人がLinuxカーネルに貢献したそうだ。前回のレポート(カーネル3.3から3.10が調査期間)と比較して、貢献する企業は200社、開発者は4000人以上増えたという。そのうちの半分は初参加とのことだ。期間中、リリースあたりの参加開発者と企業は1200人〜1500人、225〜245社の間を推移している。
Linuxカーネル開発作業に対して報酬をもらっている開発者の比率は増えており、約80%となった。変更(パッチ)を加えたカーネル開発者を雇用しているスポンサー企業上位10社はIntel、Red Hat、Linaro、Samsung、米IBM、独SUSE、米Texas Instruments、米Vision Engraving Systems、米Google、ルネサスエレクトロニクスとなった。トップのIntelは10.5%で、変更の10件に1件がIntel所属の開発者によるものということになる。また、上位10社と独立系コンサルタントで全体の50.4%を占めているという。
開発の速度については、貢献する人が増えていることから変更(パッチ)の比率は増加傾向にあり、平均すると1時間に7.71件の変更がカーネルに加わっているという。これは1日に185件、週では約1300件となる。Linuxカーネルは2〜3ヶ月おきに最新版が公開されているが、リリースあたりの開発所要日平均は70日から66日に短縮した。なお、2014年6月公開のカーネル3.15は変更の数が1万3722件あり、毎時8.17件の変更が加わるなど、過去最も忙しい開発サイクルだったとのことだ。
同レポートはLinux FoundationのWebサイトより無料でダウンロードできる。
Linux Kernel Development: How Fast it is Going, Who is Doing It, What They are Doing, and Who is Sponsoring It
http://www.linuxfoundation.org/publications/linux-foundation/who-writes-linux-2015