統計解析ツール「R」、8年半ぶりのメジャーバージョンアップ版「R 3.0.0」リリース

 4月3日、オープンソースの統計解析ツール「R」開発チームは最新版となる「R 3.0.0」(開発コード「Masked Marvel」)のリリースを発表した。2^31-1以上の要素を持つベクトル(Long Vector)のサポートなどが加わっている。

 Rは統計や解析処理、グラフ化のための言語および実行環境。WindowsやMac OS X、Linuxなどで利用できる。GNU Projectの1つで、動的型付け、オブジェクト指向などの特徴を持ち、データの操作、計算、グラフィック表示などの機能も統合されている。拡張性が高く、関連パッケージが豊富に用意されている点も特徴で、パッケージはCRAN(Comprehensive R Archive Network)から入手できる。ライセンスはGPL。

 バージョン3.0.0は、2004年に公開されたR 2.0.0以来のメジャーバージョンとなる。大きな変更点として、64ビットシステムで2^31-1以上の要素を持つベクトル(Long Vector)が使用できるようになったことが挙げられる。rawおよびlogical、integer、double、complex、characterを要素とするベクトルおよびリストが対象で、文字ベクトルは2^31-1の上限が継続される。

 このほか、多数の新機能や機能改善が加わった。メモリマネージャの改善、補完機能におけるヘルプ表示処理サポートの強化、ソースパッケージの存在確認を行うcheck_packages_in_dir関数などが新機能として加わった。provideDimnamesやbitwNot、bitwAnd、bitwOr、bitwXorなどの新しい関数も加わり、setClassやidentical、install.packages、termplotなどの関数には新たな引数が加わっている。

 性能面も強化されており、パッケージ内における関数呼び出し方法の変更やオブジェクトの管理方法の変更などによって処理の高速化が行われているという。

 R 3.0.0はプロジェクトのWebサイトより入手できる。なお、R 3.0.0よりも前のバージョンをインストールしていた場合、パッケージについても再インストールを行う必要があるとのこと。

The R Project
http://www.r-project.org/