KVMを採用、さまざまなOSに対応するコストパフォーマンスの高いVPS「お名前.comレンタルサーバーVPS(KVM)」
GMOインターネットが提供するVPSサービス「お名前.com レンタルサーバーVPS(KVM)」は、高いコストパフォーマンスや、ISOイメージをアップロードして任意のOSをインストールできるといった特徴を持つVPSサービスだ。本記事では、お名前.com レンタルサーバーVPS(KVM)について、サービスの概要やスペック、独自OSのインストール方法などを紹介するとともに、ベンチマークテストなどで実際のスペックをチェックする。
近年、レンタルサーバー市場では急激な性能のインフレが起こっている。PCサーバーの性能が向上しているというのももちろんあるのだが、KVMやXenといった仮想化技術の進歩や、それらに関するノウハウの蓄積というのもその背景に挙げられる。特にKVMはここ数年で採用するレンタルサーバーサービスが急増している。KVMはLinuxカーネルと同時に開発されているため開発ペースが速く、また完全仮想化のサポートによってさまざまなOSを仮想環境下で稼働できる点がメリットだ。このKVMを採用しているレンタルサーバー(VPS)サービスの1つが、「お名前.com レンタルサーバーVPS(KVM)」だ。
お名前.comというと低価格なドメイン取得代行サービスが有名だが、このVPSサービスも実はあなどれない。もっとも廉価な月額940円のプランでもメモリは1GB、ディスク容量は100GBで、CPUは2コア分が利用できる。もちろんデータ転送量も無制限だ。また、月額1,380円のプランではメモリが2GB、ディスク容量は200GBで、CPUも3コアと、一気にスペックが上昇する(図1)。
インストール用のISOイメージファイルをSFTPでアップロードすることで任意のOSをインストールできたり、I/Oパフォーマンスを向上できる準仮想化ドライバVirtIOをサポートするなど、機能も豊富だ。任意のOSが利用できるため、LinuxやFreeBSD以外のOSでもVPS上で容易に稼働させられる。もちろん、自分でインストール用のISOイメージを用意すれば、ライセンス上の制限はあるものの、Windows系OSの利用も可能だ。
今回はこのお名前.com レンタルサーバーVPS(KVM)について、その使い勝手や機能、そしてベンチマークテストによる性能チェックを行った結果などを紹介する。
なお、本記事ではVPSにWindows Serverをインストールしているが、筆者はMSDNサブスクリプションに加入しており、「自分以外がサーバーに接続しない」「開発・検証目的でのみ利用する」という条件下でインストールや検証を行っている。これ以外のケースではライセンス違反となる場合があるので、注意してほしい。所有しているWindowsのライセンスを確認し、不明であれば入手元などに問い合わせを行うなどしてライセンス上問題がないかどうか確認してから利用していただきたい。
お名前.com レンタルサーバーVPS(KVM)のスペックと機能
まずはお名前.com レンタルサーバーVPS(KVM)のスペックと機能について紹介しておこう。お名前.com レンタルサーバーVPS(KVM)では、メモリ容量が異なる5つのプランが用意されている(表1)。
プラン名 | メモリ1GBプラン | メモリ2GBプラン | メモリ4GBプラン | メモリ8GBプラン | メモリ16GBプラン |
---|---|---|---|---|---|
CPU | 2コア | 3コア | 4コア | 6コア | 10コア |
メモリ容量 | 1GB | 2GB | 4GB | 8GB | 16GB |
ディスク容量 | 100GB | 200GB | 400GB | 800GB | 1TB |
回線速度 | 100Mbps(共有) | ||||
IPアドレス | 1個(IPv4) | ||||
データ転送量 | 無制限 | ||||
月額料金(1か月払い) | 940円 | 1,380円 | 3,880円 | 7,880円 | 15,880円 |
月額料金(6か月一括払い) | 5,315円(885円/月) | 7,544円(1,257円/月) | 21,204円(3,534円/月) | 43,058円(7,176円/月) | 86,766円(14,461円/月) |
月額料金(12か月一括払い) | 9,999円(833円/月) | 13,846円(1,153円/月) | 38,918円(3,243円/月) | 79,027円(6,585円/月) | 159,248円(13,271円/月) |
もっとも安いプランがメモリ1GBプランで、料金は月額940円から、12か月一括払いの場合9,999円(月額833円)という1万円を切る価格設定が魅力である。また、メモリ2GBプランにも注目したい。メモリ1GBプランも他社VPSサービスと比較するとスペック的には決してひけを取らないが、メモリ2GBプランはメモリ1GBプランと比較するとその価格差は440円しかないのに対し、メモリ容量やディスク容量は2倍、CPUコア数も1.5倍と、非常にコストパフォーマンスの高いプランになっている。
対応OSが豊富なのも特徴の1つだ。標準ではx86_64版のCentOS 6.2がインストールされているが、後述のコントロールパネルでの操作により、FedoraやDebian GNU/Linux、Ubuntu、FreeBSDについてもインストールできる(表2)。また、インストーラを含むISOイメージをアップロードすることで、それ以外のOSもインストール可能だ。
OS名 | アーキテクチャ |
---|---|
CentOS 6.2 | i386/x86_64 |
Scientific Linux 6.2 | i386/x86_64 |
Fedora 16 | i386/x86_64 |
Fedora 17 | i386/x86_64 |
Debian GNU/Linux 6.0 | i386/amd64 |
Ubuntu 11.10 | i386/amd64 |
Ubuntu 12.04 LTS | i386/amd64 |
Arch Linux | i686/x86_64 |
FreeBSD 9.0 | i386/amd64 |
面白い機能としては、VirtIOのオン/オフをユーザー側で切り替えられるというものがある。VirtIOというのは、仮想マシン上で動作しているOSに専用のドライバを組み込むことでディスクやネットワークなどのI/Oパフォーマンスを向上させる機構である。LinuxやWindows、FreeBSDなどに向けたVirtIOドライバが開発されており、これらのOSではVirtIOを用いることでパフォーマンスを向上させることができる。VirtIOに対応していないOSや、VirtIOを有効にすると不安定になるような場合ではVirtIOを無効にして利用すれば良い。
そのほか、仮想ハードディスクが2つ提供されているというのもユニークだ。それぞれのディスク容量は20GB単位で変更でき、標準では1つ目の仮想ハードディスクに20GB、残りが2つ目の仮想ハードディスクに割り当てられている。OSや管理コンソールからはそれぞれ別のディスクとして認識されるため、たとえば頻繁にアクセスするようなデータを格納するディスクと、システムをインストールするディスクに分けて利用する、といったことが可能だ(図2)。